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    ソブリン=サムライ債の管理会社の当事者適格を認めた最高裁判決

アルゼンチン共和国が発行したサムライ債がデフォルトしたことを受け、同債券の管理会社(銀行)が、同債券の保有者の債権の実現を保全するため、アルゼンチン共和国を被告として提起した訴訟事件に関し、2016年6月2日、最高裁判所第一小法廷(小池裕裁判長)は、管理会社が訴訟の原告となることの適格性(当事者適格)を否定した原判決を破棄する等した上で、事件を東京地方裁判所へ差し戻す旨の判決(以下「本判決」といいます。)を言渡しました。

この判決は、日本で発行されるサムライ債について、「債券の要項」に基づき訴訟追行権を授与するという仕組みが構築されていることを正面から是認した初めての判決であり、債券の保有者は「債券の購入に伴い」管理会社に訴訟追行を委託することについて「受益の意思表示」(民法537条1項)をしたと判示しています。サムライ債の当事者間の契約関係に実体法上の裏付けを与えた点で、実務にとって重要な意義を有するほか、訴訟法的にも、担当者(管理会社)が被担当者(債券の保有者)の一人ではないにもかかわらず任意的訴訟担当を認めた画期的な判決です。

本判決については、江尻隆弁護士、宮塚久弁護士、浦野祐介弁護士、川村興平弁護士、田口祐樹弁護士、天白達也弁護士が管理会社の訴訟代理人を務めました。