案件実績

東京都外形標準課税条例に関する違憲無効確認請求訴訟地裁判決について

弁護士等
岩倉正和櫻庭信之佐藤丈文木目田裕矢嶋雅子弘中聡浩
時期
2002年
業務分野
税務争訟行政争訟

外形標準課税訴訟は大手の金融機関だけを対象に東京都が導入したいわゆる「銀行税」(外形標準課税)を定めた条例の無効等を求めて、大手銀行21行(合併により現18行)が東京都と都知事を提訴した訴訟です。本訴訟では、園部逸夫弁護士を弁護団長に頂き、当事務所の弁護士12名を含む弁護団が原告である、18行の訴訟代理を行いました。本件裁判では、主に法の下の平等性、適正手続保障、地方税法上の要件に当てはまるか、負担が過重であるか等について争われました。

3月26日の判決で、東京地裁の藤山雅行裁判長は「地方税法に反する無効なもの」と銀行税条例の違法性を認め、都は銀行が納付した約724億円の返還と約18億円の損害賠償の支払を命じられました。

東京地裁判決の骨子は下記の通りとなっています。

(1) 条例無効確認請求等は却下する。
(2) 条例は地方税法72条の19に違反するもので、原告らが条例に基づき既に納付した金員は誤納金となり、東京都に対し、銀行側に計724億円の返還を命じる。
(3) 条例制定による信用低下に基づく損害等が認められるので、東京都に、銀行1行あたり1億円(うち3行については各1000万円)の損害賠償支払いを命じる。

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外形標準課税
従業員数や給与総額など、「所得」以外の課税標準をもとに行う課税方法。通常の法人事業税は所得金額に課税されるため、課税所得が赤字の企業には課税できない。都は2000年4月制定の条例で都内に本店又は支店のある資金量5兆円以上の金融機関のみを対象とし、法人事業税の算出基準を不良債権処理の損失を差し引かない「業務粗利益」を外形として定め、3パーセント課税に変更した。

事業税の課税標準の特例 第72条の19
法人の行う電気供給業、ガス供給業、生命保険業及び損害保険業以外の法人又は個人の行う事業に対する事業税の課税標準については、事業の情況に応じ、第72条第1項、第72条の12及び第72条の16の所得及び清算所得によらないで、資本金額、売上金額、家屋の床面積若しくは価格、土地の地積若しくは価格、従業員数等を課税標準とし、又は所得及び清算所得とこれらの課税標準とをあわせ用いることができる。

(事業税の納税義務者等)第72条
事業税は、法人の行う事業並びに個人の行う第1種事業、第2種事業及び第3種事業に対し、法人にあつては所得及び清算所得又は収入金額、個人にあつては所得を課税標準として事務所又は事業所所在の道府県において、その法人及び個人に課する。

(法人の事業税の課税標準)第72条の12
法人の行う事業に対する事業税の課税標準は、電気供給業、ガス供給業、生命保険業及び損害保険業にあつては各事業年度の収入金額、特定信託(法人税法第2条第29号の3に規定する特定信託をいう。以下本節において同じ。)の受託者である法人が行う信託業にあつては各事業年度の所得及び各特定信託の各計算期間の所得並びに清算所得、その他の事業にあつては各事業年度の所得及び清算所得による。

(個人の事業税の課税標準)第72条の16
個人の行う事業に対する事業税の課税標準は、当該年度の初日の属する年の前年中における個人の事業の所得による。個人が年の中途において事業を廃止した場合における事業税の課税標準は、前項に規定する所得による外、当該年の1月1日から事業の廃止の日までの個人の事業の所得による。