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    エチオピア連邦民主共和国の登録商標(「SIDAMO」「シダモ」「YIRGACHEFFE」「イルガッチェフェ」)に関する審決取消訴訟(平成22年3月29日知的財産高等裁判所判決)

本件は、エチオピア連邦民主共和国(エチオピア国)のコーヒー、コーヒー豆に関する登録商標「SIDAMO」「シダモ」「YIRGACHEFFE」「イルガッチェフェ」に対して、被告からの無効審判請求により、特許庁が、当該商標は、商標法3条1項3号(その商品の産地又は品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標)・4条1項16号(商品の品質の誤認を生じるおそれがある商標)に該当することなどを理由に、登録を無効とする審決をしたことから、エチオピア国が特許庁審決の取消を求めた事案です。知的財産高等裁判所は、「SIDAMO」などの本件商標はその指定商品である「コーヒー、コーヒー豆」について用いられた場合、取引者・需要者は、コーヒー豆の産地そのものというよりは、コーヒー又コーヒー豆の銘柄又は種類、すなわち、エチオピア産(又はエチオピアのシダモ地方産)の高品質のコーヒー豆又はそれによって製造されたコーヒーを指すものと認識すると認められるから、本件商標は自他識別機能を有するものであるということができるなどとして、エチオピア国の主張を認め、本件商標登録が3条1項3号に該当するということはできないとしました。そして、エチオピア国SIDAMO(シダモ)地方、あるいはYIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地方で生産されたコーヒー、コーヒー豆について、商標法3条1項3号および4条1項16号の適用はないとして「SIDAMO」「シダモ」「YIRGACHEFFE」「イルガッチェフェ」の商標登録を無効とした特許庁審決を取り消しました。

当事務所は、エチオピア国を代理し、福島栄一弁護士、宍戸充弁護士、大向尚子弁護士、髙木楓子弁護士、熊谷美和子弁理士が担当しました。

(なお、本事件は、当事務所が、Arnold & Porter LLP法律事務所との共助のもと、エチオピア国の商標取得を通じてエチオピアの有する知的財産権を確保し、それを通じて何百万人もの数に昇るエチオピアのコーヒーの生産業者ないし関連従事者の貧困を救済することを目的とする国際的プロボノ活動の一環として処理してきた案件です。)

弁護士等 People

大向 尚子

大向 尚子 Naoko OMUKAI

  • パートナー
  • 東京

知財高裁大合議事件を含む国内外の特許・商標その他の知財紛争・訴訟における代理人としての実績を有するほか、インターネット、放送事業関連法務、ライセンス・フランチャイズを含むビジネス展開のための知財取引、知財戦略を伴うコーポレート案件にも多数関与。上場企業の社外取締役も経験。 経済産業省産業構造審議会 知的財産分科会商標制度小委員会の委員、特許庁侵害判定諮問調査員、日本商標協会理事等を現任し、弁護士会、弁理士会、日本知的財産協会等において知財関連のセミナーの講師を多数担当。