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“トレードオフ”されるコンプライアンス

  • 所外セミナー

“トレードオフ”されるコンプライアンス

日時
2024年7月8日(月)13:00〜17:00
会場
東京 企業研究会セミナールーム

梅林啓弁護士が2024年7月8日(月)に、企業研究会主催のセミナーにおいて「“トレードオフ”されるコンプライアンス」と題する講演を行いました。

セミナー詳細

I. はじめに
(1)最近の企業不祥事事案を見て感じること
(2)このセミナーの目的

 

II. このセミナーにおけるキーワードの整理
(1)コンプライアンス
(2)トレードオフ

 

III. トレードオフの実例
(1)自動車開発(安全性、経済性、環境性能、快適さ、利便性、性能、デザイン)
(2)鉄道事業(安全・安心、定期的・安定的・時刻表に正確な運行、快適さ・利便性、駅の利便性、不採算路線、沿線の街作り)

 

IV. 一般の企業において発生しているトレードオフ
(1)必ずしも達成が容易でない目標(タスク)
・コスト削減、生産の効率化、スピードアップ、人員削減、労働時間の削減
(2)達成が困難なタスクを達成するためのトレードオフの形態
・人員を削減しつつ、それまでと同じ作業を行わせる、安価な材料・素材を使う、
 時間をかけていた作業に時間を掛けなくなる、ある作業を簡略化・省略する
(3)トレードオフされる典型的なものとして、最後に行き着く「コンプライアンス」に関わるもの
・製造工程・品質保証部門の検査やチェック、書類の不備や形式面のチェック、報告文書の作成・保管、決済、内部監査

 

V. トレードオフが不祥事に繋がる具体的な事例
(1)製造メーカーによる製品偽装
・強度の偽装(人員、温度・湿度管理のトレードオフの結果、コンプライアンスがトレードオフされた例)
・原材料の偽装(作業効率・コスト削減の優先、既存の人員への負荷により、コンプライアンスがトレードオフされた例)
(2)「働き方改革」とトレードオフ
・労働時間削減の取り組みの中で、トレードオフされているものは何か
・業務の内容を減らす、業務の質を落とす、業務プロセスを一部省略することで顕在化するリスク
(3)機密文書の管理
・「機密文書の管理のルールの徹底」をトレードオフすることで、もたらされる帰結
(4)内部監査
・内部監査のトレードオフがもたらす結果
(5)建設業界
・トレードオフの関係はいたる所に
(6)独占禁止法違反
・カルテルや談合をやらないようにしつつ、事業を遂行するためにトレードオフしたものは何か
・トレードオフの結果、現在起きている様々な現象とは
(7)外国公務員に対する贈賄行為
・現場の判断でコンプライアンスがトレードオフされている実態(本社部門の関わり方の現実)

 

VI. コンプライアンスがトレードオフされないために
(1)コンプライアンスと利益の追求は相反するのか?
(2)企業として絶えず意識し、考え、実践していくべきこと(短期的視点と中長期視点)

講師等 Speakers

梅林 啓

梅林 啓(講師) Kei UMEBAYASHI

  • パートナー
  • 東京

危機管理分野のパートナーとして、主に、役職員による不正行為、情報漏洩、独禁法、金融商品取引法、その他の各種業規則法等の法令違反など企業不祥事案件を受任し、具体的には関係者への事情聴取を含めた社内調査対応、原因分析、再発防止策の策定、報告書の作成、マスコミ対応、民事・刑事の法的措置等幅広い業務を担当し、公正取引委員会や証券取引等監視委員会をはじめとする当局対応も迅速に行っております。
 また、不祥事発生時や、コンプライアンス体制の構築に関する経験をふまえて、日本弁護士連合会の第三者委員会ガイドライン、社外取締役ガイドラインの作成にも関与致しました。
 案件だけではなく、社内調査、情報漏洩、不正行為発生のメカニズム、行政調査に関するセミナー講師も多数務め、前職である検事時代に培った、現場での経験や各種ノウハウを踏まえて、今は弁護士の立場から、企業の危機管理対応の具体策を提案しております。