採用情報

CROSS TALK

指導担当パートナー ×
アソシエイト弁護士 対談

成長をサポートし、弁護士として大事な
基礎的な能力を身につける

PARTNER

濃川 耕平

54期 / パートナー

主たる業務分野はキャピタルマーケッツであり、その他のファイナンス案件やジェネラルコーポレート等にも対応。ファイナンスチームのアソシエイトの指導担当を受け持つ。

ASSOCIATE

樫野 平

71期 / アソシエイト

主たる業務分野はファイナンスとコーポレートであり、ファイナンスでは特にキャピタルマーケッツ案件を担当。指導担当パートナーの業務分野は、キャピタルマーケッツ、M&A・コーポレート等。

ASSOCIATE

内海 友理

68期 / アソシエイト

主たる業務分野はコーポレートであり、M&A・コーポレートを中心に、クロスボーダー案件やベンチャー企業の資金調達案件も担当。指導担当パートナーの業務分野は、M&A・コーポレート、立法分野等。

PARTNER

内間 裕

45期 / パートナー

主たる業務分野はM&A・コーポレートであり、その他にジェネラルコーポレートや事業再生、危機管理、知的財産権、訴訟、紛争等も幅広く対応。コーポレートチームのアソシエイトの指導担当を受け持つ。

TOPIC 01

指導担当パートナー制度について

内海: この対談では、西村あさひにおける新人弁護士教育制度のひとつとして特徴的な指導担当パートナー制度について、指導担当期間中の2年目アソシエイト弁護士とその指導担当弁護士、そして指導担当期間明けの5年目アソシエイト弁護士とその指導担当だった弁護士で、指導担当パートナー制度の実態やアソシエイト弁護士と指導担当弁護士との関係性などについて、語り合っていただきたいと思います。
まず指導担当パートナー制度の概要について教えていただけますか。
濃川: 新人弁護士のための教育制度で、入所から2年間、アソシエイト一人につき3~4名のパートナーが指導担当としてついて、アソシエイトの成長に対して責任を持つという制度です。最初の2年間は弁護士の成長にとって特に重要な時期なので、パートナーがアソシエイトの成長を責任を持ってサポートすることによって、弁護士として大事な基礎的な能力をしっかり身に付けてもらおうということで、この制度を採用しています。

TOPIC 02

指導担当からのアサインメント

内海: 私はコーポレート業務に携わりたいと思って入所したのですが、最初にアサインされたのがリクルートのときからよく話していた内間先生の案件だったので、安心しました。もし入所後に誰からどんな案件が来るか全くわからなかったら不安だったかもしれません。その案件は上場会社同士の統合案件で、ストラクチャーをどうするかというところから相手方と揉めていた件でしたが、1年生の4月から会議やインタビューに同行して、内間先生をはじめとする先輩弁護士の、クライアントへのアドバイスや相手方との交渉の現場を見ることができたことはとても印象に残っています。個人的には相手方の代理人の先生と内間先生との緊迫したやりとりが一番面白かったですね。
内間: その案件は初期の交渉が特に大変で面白かったですね。でも、一年目は私との案件は意外に多くなかったですよね。
内海: そうでしたね。最初の一年だけで、10名以上のパートナーの先生とお仕事したと思います。

TOPIC 03

指導担当の決まり方

内海: 樫野先生は、コーポレートチームとファイナンスチームという二つの業務分野の先生に指導担当についてもらうことになった経緯を聞かせてもらえますか。
樫野: 私はサマー・アソシエイトで濃川先生に担当してもらって興味を持ち、是非キャピタルマーケッツ(キャピマ)分野に関わりたいと思っていたんです。でもその後ロースクールのゼミで内間先生からコーポレートを学んだり、他事務所のサマープログラムも回ったりするうち、コーポレートも面白そうだなと思うようになりました。
それを濃川先生や内間先生に率直に相談したら、無理に1つに絞ることはなくキャピマとコーポレートを組み合わせることはすごくいいことだとアドバイス頂き、入所直前まで暫く考えた上でそのような希望をお伝えした結果、かなり自分の希望が叶った形で入所に至りました。
濃川: 指導担当の組み合わせは本人の希望を踏まえながら決めています。あとは、ファイナンスの場合はその中でさらに業務分野が細分化されているので、偏りのないよう組み合わせを考えたり。

TOPIC 04

複数の指導担当からのアサインメント

樫野: 濃川先生からはキャピマ案件は勿論、コーポレート案件もアサインしてもらっています。逆に内間先生からはファイナンスとのシナジーを考えてアサインしてもらっていて、例えば、バイアウトファンドによる買収の際にはM&AとLBOローン、更にその後エグジットの際に対象会社を上場させることでキャピマ案件につながるというような、まさにキャピマとコーポレートの両方の経験を活かせるような案件を中心にアサインしてもらっています。1年を振り返ると、キャピマ4割、純粋なM&A3割、株主総会対応、危機管理、M&Aファイナンス、訴訟、アクティビスト対応等のその他分野が3割と、幅広いものを担当しています。
内間: 樫野先生とはリクルートのときからよく話をしていて、濃川先生を非常に尊敬していることも、コーポレート/M&Aもやってみたいと思っていることも分かっていましたし、能力的にも性格的にもその両分野を追求する適性を持っていると確信していたので、事務所に入ってそれを実践している姿を見て、とても嬉しく思います。
濃川: 指導担当の内間先生に限らず、他のパートナーのところに丁度よいM&A案件があったときも樫野先生に入ってもらったこともあるし、逆にファイナンス案件でも指導担当パートナー以外の案件でもすごく勉強になるから一緒に仕事をした方がいいよというアドバイスをしたこともありますね。
内間: 逆に、樫野先生が一時期コーポレート案件が多くなり過ぎて、もう少しキャピマ案件に集中したいという相談に来たときには、私の方からコーポレートチームの他の先生にその旨を伝えて、アサインを調整したこともありますね。
濃川: そのときにどういう案件をやるのが良いかは、個人の成長度合いに応じても異なるし、そのときどういう案件があるかにもよるので、本人にとってのベストを模索していくことが重要です。だからこそ樫野先生と内間先生とうまくコミュニケーションをとりながら調整しています。

TOPIC 05

一つの分野からスタートして分野を広げていく方法もある

濃川: 樫野先生のように初めから複数分野の案件をやっている先生もいれば、途中からいろいろな分野をやっていくスタイルもあると思いますが、内海先生はどうですか?
内海: 私の場合、入所前からコーポレートを志望していたので、コーポレート分野の指導担当の先生についてもらいましたが、そもそもコーポレートと一口に言っても、M&A以外にもクライアント企業の危機対応を相談されることもあれば、M&Aの中でも買収した会社の表明保証違反が発覚すれば訴訟紛争対応が必要ですし、買収資金の調達にはファイナンスが必要となり、市場シェアが競合する企業の買収であれば独禁法対応も必要です。その中でより高度な対応が必要になる場合に、各プラクティスグループの先生とコラボしながら対応しています。ですので、コーポレートを主軸としながら周辺分野の経験も積んでいっているイメージです。 それから、同じM&Aコーポレートの中でも幅広い案件に加入してM&Aロイヤーとして経験を積んできました。私はクロスボーダー案件に興味があることを表明していたところ、インバウンド/アウトバウンド問わず多くのクロスボーダー案件にアサインしてもらいました。逆に自分ではもともと全く興味がなかったベンチャーの資金調達案件に加入したところ、ビジネスの全体像を把握して自分で案件を動かし、クライアントの希望を実現することの面白さを知り、そういったタイプの案件にも多く関与するようになりました。
内間: 指導担当期間中でも、指導担当の先生と全く関係ない仕事を受けることもありましたか?
内海: それもあります。2年目のとき新しい分野の仕事をしてみたいと思い、リクルートのとき等に話を聞いていて一度一緒に仕事をしてみたいと思っていた通商関係のパートナーの先生に相談したところ、いわゆるロビイング案件に誘って頂きました。その案件は、新規事業分野における規制法が新たに制定されるにあたって、クライアントである新規事業者の立場から、過度な規制とならないよう行政庁への働きかけをするというものでした。いつものM&A案件では、会社法をベースにストラクチャーや契約書の条項を検討していくのに対して、新しい法律の解釈を考えるというアプローチが新鮮で勉強になりました。
内間: 指導担当とは全く関係なくても、この事務所の中には一緒に仕事をしてみたいと思わせる弁護士がたくさんいるので、積極的に広げていくのは良いことですよね。
内海: 案件に加入する経緯としては、指導担当を中心としたパートナーの先生から声を掛けてもらうこともあれば、期の近い先輩弁護士から面白い案件があるからと声を掛けてもらうこともあります。飲み会で仲良くなって、それをきっかけに案件が始まったことも。

TOPIC 06

業務量の調整

内海: コーポレートだけでもこれだけの幅があると、親和性があるとはいえ2つの分野の仕事量やそのバランス等で悩むこともあるのでは?
樫野: 業務量の調整はアソシエイトレビュー等の場で、指導担当に相談するようにしています。
濃川: オフィシャルには年に一度のアソシエイトレビューの場で、1年間どういう仕事をやってきてどういう成長ができたか、今後の課題は何かを指導担当と確認する機会があります。
それとは別にメンター制度や、アソシエイトケア委員会(Associate Care Committee/ACC)という委員会もあり、色々な角度からアソシエイトの状況を把握し悩みや希望を吸い上げています。
内間: 執務時間については、業務調整委員会が事務所全体の各アソシエイトの執務時間を見て、多すぎる場合等には調整しています。加えて、各プラクティスグループでも細やかなケアをしていて、例えば私のチームでは、3か月に1回全パートナーで集まって、指導担当期間中か否かに限らずチーム全体のアソシエイトのタイムシートを見て、業務内容に偏りがないかどうかを確認しています。その際、本人の希望をパートナー間で共有する等意見交換した上で、アソシエイトの自発的な希望を尊重しながら仕事の受け方の示唆や案件アサインメントの橋渡しができるように工夫しています。
濃川: 指導担当パートナー側からすると、例えば樫野先生について心がけていることは2つあって、①ご本人の希望に沿うようにキャピマとコーポレートの親和性が高い仕事を中心にアサインすると共に、②横で常に樫野先生の状況を見ながら過度な負担にならないように業務量を調整しています。
指導担当はアソシエイトの成長にコミットすることが最も重要ですが、個人によって得手不得手もあるし、成長スピードも違うので、例えて言うとパーソナルトレーナーのように側でよく見てあげて、その時々でその人の成長に必要な業務を考えながら、アサインという形でトレーニングプログラムを提供しつつ、オーバーワークにならないように配慮して本人の成長を支えていくというのが、指導担当パートナー制度の肝だと思うんです。
内海: 確かにいろいろなパートナーと話していると、アソシエイトの状況、例えばどの先生は英語系の案件が多すぎるから国内の案件をもう少しやらせてあげたいといった状況を把握していて、どう解決するかを考えてくれている、というのを感じます。
樫野: そうですね。アソシエイトレビューやメンター・ACCとの面談だけではなく、日々全然関係なく廊下を歩いている時に指導担当以外のパートナーが、先月大丈夫だった?と心配してくれるなど全パートナーが暖かく見守ってくれているという感覚です。
濃川: 樫野先生は毎日5回以上は部屋に来ているよね(笑)。でもそれはすごく大事なことで、お互い顔を見ると分かることもあるので、相談を気軽にできる雰囲気があるのはとてもよいこと。我々の場合、気軽にふらっとお昼を食べに行ったりもするしね。
内海: パートナー、アソシエイト問わずお互いの執務室を行き来しますよね。メールや電話でもよいですが、お互いに顔を見て話すことでわかりあえることも多いので。
この関係性は、指導担当期間が終わっても続くものです。私は指導担当期間があけてすぐの頃に、クライアントの会社に出向するお話をいただのですが、弁護士としての基礎体力がやっとついたかどうかのタイミングで出向にいって大丈夫だろうかと不安を覚え、一番に相談に行ったのが内間先生でした。正直に、こういうお話をもらったけれどどうしたらいいですかって。
内間: 相談に来てくれた内海先生には率直に、もしかしたらもうちょっと力をつけてから出向した方が良いかもしれないけれど、この問題に関しては自分がどうしたいかを純粋に考えて決めていいんだと言いましたね。
内海: はい。自分がどうしたいかを改めて悩み考えて出した結論は、出向に行くというものでした。パートナーの先生に相談したら、事務所としては行った方がいいと言われると思っていたら、非常に親身に相談に乗ってもらいました。私の気持ちを優先した答えを出していいんだと背中を押してもらったからこそ、このチャンスを最大限に生かそうという気持ちで取り組みました。結果として、早いタイミングでクライアントのニーズを身をもって体感できたことは、大きな財産になったと思います。
内間: 指導担当といっても、結局は自分でしっかり考えて判断しなさいということを教えているのかもしれません。案件もそうで、この事務所には先輩は我慢して、後輩に自分で判断させるようにする文化があり、アソシエイト自身に判断するように促しつつも最終的なフォローができるようにしているのだと思います。

TOPIC 07

指導担当期間中に期待する弁護士の成長

内海: 私は指導担当期間はコーポレート一本に軸をおいて、集中的に1人前になるための密度の濃い指導を受けて、得た知識や経験を類似の案件で実践しながら成長していく方法が自分に向いていました。仮に私が初めから複数分野に軸を置いていたとしたら、どうしても成長スピードが緩やかになってしまう部分があると思うんです。
指導担当が明けた今、どの分野においても必要な基礎力は同じだったということを実感しています。
内間: 指導担当期間の2年間は非常に重要で、当事務所が指導担当パートナー制度をずっと続けているのは、その重要性と有用性を強く感じているからです。信頼関係のある弁護士とじっくり仕事に取り組み、それを繰り返すことで、弁護士としての深い分析力、洞察力、説得力、調整力がつくのを多くの人が実感として持っているからなんですよね。
初めの2年間はパートナーも自ら背中を見せたり、内部会議で直接指導もしたりするけれど、指導担当が明けた弁護士には指導担当期間中の後輩の面倒を見ることも期待しています。指導担当期間中の弁護士は同じチームの指導担当パートナーと中堅のアソシエイトの両方から集中的に濃い指導を受けて、しっかり弁護士としての基礎体力を付けることに集中できる。そうすることによって、どの分野であっても通用する弁護士に成長できると思っています。
私自身、最初は当事務所の中でファイナンスの先輩達にしっかりと育ててもらい、途中からメインの分野をコーポレートM&Aに変えましたが、弁護士としての基本的な力をファイナンスの先輩達にしっかりつけてもらったことが非常に大きいと思っています。
濃川: うちの事務所でよく言う基礎体力はすごく重要で、クライアントの話の中から法的な問題点を抽出し、それに対して法的な分析を加えてロジックを組み立て、そのロジックにクライアントから聞いた情報を当てはめて妥当な結論を導く、という弁護士として必要な素養ですが、これはどの分野にも共通する、必要な力なんです。
なので、最初の2年間で信頼できる弁護士のもとで基礎体力をつけることに集中してほしい、というのが強い思いです。
指導担当があけた後に、自分の好きな案件をどんどんやっていろんなことにチャレンジしてほしいから、指導担当期間はある意味それに向けた準備期間であるとも言えるかもしれません。
内間: 樫野先生はまだ指導担当期間中ですが、これからの展望についてはどう考えていますか?
樫野: 私は指導担当の先生が複数分野にまたがっていますが、そもそも内間先生からは常日頃一流のコーポレート・ファイナンスロイヤーになってほしいといわれています。それはキャピマという株式を切り口としたファイナンスに重きを置きつつ、会社全体の価値を常に分析できるような弁護士になってほしいということだと思っていて、漠然と色々な分野に手を出すのではなく、1つの目標に向かって2つの分野でシナジーのある案件を常にやらせてもらっているという感覚です。1年間で案件の概要をやっと知れたなというところなので、内海先生が言っていたように、まずは継続的に指導担当の先生の協力を得ながら自分の基礎体力を高めつつ、指導担当が明けたらそれをベースに少しずつ他の分野の仕事もしてみようとは思っています。とはいえ、指導担当期間が明けてからも、変わらず濃川先生、内間先生と一緒に仕事をしていきたいと思っているので、今後は特にキャリアパスや出向留学等の相談もさせてください。
濃川: もちろんです。各アソシエイトのタイプによって、内海先生みたいに1つを積み上げた方が身につくタイプもいれば、樫野先生みたいに興味があることはとりあえずやってみて、その中から掴んでいくという人もいて、正解は1つではない。それぞれの性格や持っている特質に合わせて柔軟に対応できるのが、この制度の良いところです。

TOPIC 08

おわりに

内海: では、最後に学生のみなさんへのメッセージをお願いします。
濃川: 繰り返しになりますが、指導担当パートナー制度をとっているのは、2年間で基礎体力をつけてほしいという思いからです。そのために事務所としてベストな方法がこれだと思っています。日々成長を見守るしコミットするから安心して成長してくださいというのが、事務所側からのメッセージですね。
内海: これから入所される学生にとっては入所後の2年間で安心して自分の興味のある分野の案件に取り組みつつ、常に見守ってくれる指導担当パートナーのもとで成長できます。
もし入所前からやりたい分野がはっきり決まっているのであれば、入所前から興味のある分野の先生にどんどん会ってもらうことで、入所後も働きやすい成長しやすい環境になると思いますので、希望があれば積極的に伝えてほしいです。
濃川: 人は興味のある分野で一番伸びるし、この人と仕事したいと思った人と仕事をするのが最も成長するから、入所前にぜひいろんな人と会って頂いて、そういうのを見つけられると良いよね。
樫野: 指導担当パートナー制度は思っている以上に柔軟です。事務所側から縦割りで先生の下に誰かを付ける師弟制度のようなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、パーソナルトレーナーのように成長を見守ってくれている存在ですので、入所されたら、それぞれの希望に応じて柔軟に制度を使いこなしてもらいたいですね。