Lam Khang Joint Stock Company:補助金相殺関税の適用除外で欧州委員会と和解
西村あさひは、欧州委員会が、ベトナムの鋼材輸出を手がけるLam Khang Joint Stock Company(以下、「Lam Khang」)に対し、インドネシア産ステンレス鋼冷延鋼板に課される補助金相殺関税をLam Khangからの輸入品にも適用する決定をくだした事案(実施規則(EU)2024/1268)をめぐり、無効を求める訴訟においてLam Khangを代理し、適用を除外する和解が成立しました(Case T-334/24 - Order)。
西村あさひのチームは、インドネシア産ステンレス鋼冷延鋼板に対する補助金の恩恵をLam Khangの製品も受けていると見なした欧州委員会の判断は、Basic Anti-Subsidy Regulationのanti-circumvention provisions(第23条3項および6項)に反していると主張しました。特に、調査の段階において証拠を分析する際に、欧州委員会側に事実誤認があったと指摘しました。欧州委員会はその誤りを認め、和解案を提示し、Lam Khangの製品における補助金相殺関税の適用を除外することで合意しました。この結果、Lam Khangの製品を輸入するEUの事業者は、これまで支払った反回避関税が払い戻され、今後も関税が適用されないことになりました(実施規則(EU)2024/3201)。
本件は、当事務所のブノワ・セルヴェ ブリュッセル弁護士およびヴィクター・クロシェ ブリュッセル弁護士が担当しました。
弁護士等 People
EU法に関しては、政府および企業に対し、複雑なEU規制との向き合い方についてアドバイスを行っており、特に、クライアントが新しい規制の立法動向に影響を与え、またそれらの遵守を支援することに重点を置いている。貿易救済措置に関する調査においても企業や政府を支援している。これまで50件以上の反ダンピング、反補助金、セーフガード調査においてクライアントにアドバイスし、輸出企業に無税または低額の関税を勝ち取ることに成功した。さらに、欧州連合司法裁判所での訴訟において豊富な経験を有し、EU機関が採択したいくつかの措置に異議を申し立てることに成功している。 国際経済法の分野では、WTOのパネルや上訴審、その他の上訴手続きにおいて各国政府を支援している。また、国際通商・投資法の下で、EUや第三国が採用した措置の合法性に関する法的意見の提供など、さまざまな経済政策に関する政府や多国籍企業へのアドバイスも行っている。さらに、国際通商・投資交渉において政府を支援し、交渉中に説得力のある議論を展開し、合意されたルールの遵守を保証する。
また、ケンブリッジ大学にて国際通商法のコースの一部を教えている。
EU法においては、1992年以来、世界中のクライアントのために160件以上のEU反ダンピングおよび反補助金調査に関与。欧州連合司法裁判所において、重要な貿易関連訴訟でクライアントを成功裏に代理した実績も有する。また、第三国が開始する反ダンピング調査ではEUの輸出生産者を代理するほか、第三国の国内生産者を代理し、これらの第三国が開始する反ダンピングおよび反補助金調査にも対応している。
EU通商法分野において参照必須とされる文献への主要な寄稿者でもある。