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  • Insights

Digital Policy & Regulation

近年、サイバー空間とフィジカル空間の融合が高度に進展するとともに、サイバー空間においては伝統的な地理的・国境的概念の変容・相対化も見られます。これに伴い、デジタル分野におけるルールメイキングが世界的に急速に発展しており、グローバルにビジネスを行う日系企業においては、国内外のデジタル分野の政策・規制法の対応は避けられず、国際的なデータガバナンスの構築が喫緊の課題となっています。また、デジタル分野で先行する米国発のグローバル企業等にとっても、日本やアジアのデジタル分野の政策・規制への対応の重要性が増しています。 

デジタル分野の政策・規制はさまざまな目的のために導入されています。代表的なものとしては、ユーザーや役職員等のステークホルダーのプライバシー・人権の保護、消費者保護、企業の競争力を支える産業情報の保護、寡占独占による弊害の抑制、デジタル分野のエコシステムにおける分配的正義の実現、産業競争力の維持・強化、言論や政治過程の健全性の維持、安全保障といった課題に対処することが企図されています。これらの政策・規制は、複合的に、データやデジタル技術を活用する企業の日々のオペレーションに大きな影響に与えるとともに、デジタル分野を収益事業とする企業のビジネスモデルや技術開発・仕様、マーケティング戦略にも大きなインパクトをもたらします。今後は、法分野横断的にこれらの課題を意識した上で、ソリューションを考案していくことが重要となってきます。 

デジタル分野の政策・規制の動向を把握するにあたり、国際的な視野とインテリジェンスを持つことは死活的に重要となります。特に、EU発の規制がEU域外の企業によって遵守され、ひいてはその規制がEU域外の国々においても採用されていく「ブリュッセル効果」はデジタル分野において顕著であり、プライバシー保護のあり方に革新をもたらしたGDPRはその代表例です。その後も、市場における独占寡占の弊害の抑制やデジタル分野のエコシステムの分配的正義を企図したDigital Markets Act(DMA)やDigital Services Act(DSA)、世界初の包括的なAIに関する規制法であるEUのAI規則、デジタルID及び電子署名や電子シール等のトラストを確保する目的のElectronic Identification and Trust Services Regulation(eIDAS:欧州デジタルID規則)、電子マネートークン、資産参照型トークン並びにそれら以外の暗号資産に関する包括的な規制であるMarkets in Crypto-Assets(MiCA:暗号資産市場規則)、及びEU加盟国の決済サービスの規制であるPayment Service Directive(PSD:決済サービス指令)も、世界の規制動向に影響を与えるいわば参照点(レファレンスポイント)となっています。日本においても、法制度・ガイドラインの策定に当たって、EU発の規制が少なからず参照されている例からも分かるように、日本をはじめとする世界のデジタル分野の規制法に対応する上でも、EU発の規制の内容・動向を適時・適切にフォローした上で、各国固有の事情を汲んで規制の在り方を検討することが重要になっています。

また、日本でも、デジタル分野における取組みが着実に進められています。国際的な視点からは、日本が主導する形で、G7やOECDのフォーラムで検討が進められているDFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)という構想が着目されます。これは、プライバシーやセキュリティ、知的財産権に関する信頼を確保しながら、ビジネスや社会課題の解決に有益なデータが国境を意識することなく自由に行き来する、国際的に自由なデータ流通の促進を目指すというコンセプトであり、国際的な企業活動を後押しする、デジタル分野における国際的なルール形成の中でもとりわけ重要なものといえます。さらに、サイバー空間でも本人性が適切に担保されるためのデジタルID(アイデンティティ)について、海外では既に制度整備が進んでいたところ、日本でも公的個人認証に原則として一本化される方針が示されており、本人確認のインフラストラクチャとして、あらゆるデジタル分野が堅牢に発展することが期待されます。 

当事務所は、2020年10月よりドイツのフランクフルト、デュッセルドルフに拠点を構え、GDPRのほか、その後発展を続けるDSA、DMA、NIS2指令、データアクト、AI法、サイバーレジリエンス法等の欧州のデジタル分野の法規制について、日系企業の対応支援をリードしてまいりました。そして、欧州委員会、欧州議会等の主要な機関を擁し、EUの政策・法規制の形成の中心地ともいえるブリュッセルに2025年1月に事務所を開設し、ドイツ拠点とともに、日本やアジア・米国の拠点とも連携する形で、デジタル分野におけるルール形成の最新かつ客観的動向の把握と、ルール形成への能動的な参加も視野に、これまで以上にグローバルでのデジタル分野の政策・規制法の対応支援に注力してまいります。

デジタルの分野においても以下のように様々な領域がありますが、当事務所では、それぞれの分野のエキスパートが、上記の3拠点のほか、グローバルに展開する各国拠点に在籍し、有機的に連携してグローバルに幅広く対応することができます。

越境データ移転の対応支援:各国の越境移転規制に準拠した契約を組み込んだグループ間のIntra Group Data Transfer Agreement (IGDTA)の締結支援、中国やベトナム等におけるデータ移転契約の締結及び当局届出の支援、EU・中国のみならずグローバルに広がりを見せる越境移転影響評価(Transfer Impact Assessment、TIA)の支援

産業データの流通・データ連携:EUデータアクト、データ共有に係る規制(EU電池規則、エコデザイン規則)への対応支援、医療情報・ヘルスデータの共有・セキュリティ等に関する規制への対応支援(欧州臨床試験規則(Clinical Trials Regulation)、欧州医療機器規則(MDR)、欧州体外診断用医療機器規則(IVDR)等の薬事・医事関連規制及び各国データ保護法遵守のための対応支援)

AI:EU AI規則、カリフォルニア州AI関連規制への対応支援、生成AIの導入対応支援を含む、グローバルでのAIガバナンスの体制構築支援、AIに関するルール形成への参画支援

データ保護/プライバシー:グローバルでのサービス展開、及び、各国への拠点展開のための各国データ保護法の調査・対応支援(グローバルでのデータガバナンスに係る体制の構築支援、グローバルでのメールシステム、従業員管理システム、顧客管理システム、内部通報制度システムの導入対応支援を含む)

サイバーセキュリティ:EUのNIS2指令・サイバーレジリエンス法、中国のデータセキュリティ法等の海外でのサイバーセキュリティに関する法令への対応、不正アクセス事案への対応(海外当局への報告を伴うグローバル事案を含む)

競争法:デジタル分野における大小様々な競争法執行案件、デジタル分野の市場調査案件への対応、競争法を意識したビジネスモデルのデザイン等の戦略的アドバイス、コンプライアンス対応、DMAやスマホ競争促進法等の事前規制への対応、デジタルプラットフォーム取引透明化法等の共同規制への対応

国際通商:DFFTといった国際ルール形成への参画支援、デジタル分野における補助金や政府支援策の活用支援、重要インフラや政府調達に関する案件対応、サイバーセキュリティや経済安全保障の観点からの戦略的アドバイス及びコンプライアンス支援

デジタルプラットフォーム規制:上記の競争法に関するものの他、消費者保護、フリーランス保護規制対応、シェアリングエコノミー等に関する業規制に関するルール形成への参画支援やコンプライアンス支援

電気通信・放送関連規制:最新の電気通信事業関連の規制やプロバイダ責任制限法等のコンプライアンス支援や偽情報対策に関するルール形成への参画支援

薬事・医事関連規制:データやAIを活用した革新的な医薬品・医療機器の創出に向けた研究開発の推進や、情報通信機器を活用した安全で質の高い医療サービスへのアクセス向上を目的とする様々な取り組みに対して、薬事・医事関連規制の観点からの戦略的アドバイス及びコンプライアンス支援

デジタル金融・Web3:ブロックチェーン上のトークンである資金決済法上の暗号資産やステーブルコイン、金融商品取引法上のセキュリティ・トークン、金融規制に服しないいわゆるNFT(Non Fungible Token)のほか、昨今ではRWA(Real World Asset)トークンのでの活用等(メタバースやVirtual Worlds(仮想世界)での活用を含む。)、各種のデジタル・分散型金融の取組みに対するアドバイス及びコンプライアンス支援

そのほか、デジタル分野に関係する業務分野として、ライフサイエンス・ヘルスケアMaaS宇宙・ドローンアグリ・フードテックスポーツ、その他DX全般についても豊富な経験を有しています。

このように、当事務所の豊富な知見・経験を有する弁護士によるチームが、クライアントのニーズを掴み、ビジネスへの影響を踏まえて各国の規制動向を注視し、企業が執るべき対応について戦略的なアドバイスを提供いたします。

当事務所のデジタル分野は、日本、欧州はもちろんのこと、東南アジアにおいても幅広いケイパビリティがあり、その取組みは、データ関連やTMT分野、競争法・国際通商法分野で、世界中の法律事務所及び弁護士を評価する著名な海外ランキング誌であるChambers Global及びChambers Asia-PacificやThe Legal 500 Asia Pacific、データ保護分野における著名な専門誌であるGlobal Data ReviewによるGDR 100において高い評価を受けています。

Selected for Global Data Review’s GDR 100 
データ保護分野における世界有数の法律事務所を選出する「GDR 100」にて、日本の法律事務所として唯一、当事務所が選ばれました。2年連続の選出となります。 

Leading Firm, Data Protection  
Asia-Pacific Region
Chambers Global 2024
Chambers Asia-Pacific 2024

Leading Firm (Band 1), Technology, Media, Telecoms (TMT)
Chambers Asia-Pacific 2024

Leading Firm, International Trade /WTO, Asia-Pacific Region
日本の法律事務所で唯一の選出 
Chambers Global 2024
Chambers Asia-Pacific 2024

Leading Firm (Band 1), Competition/Antitrust
Chambers Global 2024 
Chambers Asia-Pacific 2024

Band 1, International & Cross-Border Capabilities (Japanese Firms)
Chambers Global 2024

Leading Firm (Tier 1), TMT (Technology, Media, and Telecommunications) (Japanese Firms) 
The Legal 500 Asia-Pacific 2024

また、デジタル分野に対する各弁護士の取り組みも高い評価を受けています。

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