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藤田直介先生ランチタイムトークセッション
トークセッションの概要
2025年6月16日のランチタイムに、LGBTQとアライのための法律家ネットワーク(LLAN)共同代表・共同創設者である藤田直介先生をお招きしてランチタイムトークセッション(対面とZoomのハイブリッド)を実施し、100名近くのメンバーが参加しました。 本トークセッションは、当事務所のプライド月間2025の取り組みの一環として、「上司がAlly(アライ)だと、職場はどう変わる?」という観点から、特にマネジメント層の理解と共感を促し、職場における安心感の向上を図ることを目的として実施されました。
第1部 藤田直介先生の基調講演
第2部 Q&Aセッション(登壇者:藤田直介先生、中山龍太郎弁護士、水野挙徳弁護士、小林万梨子(プロフェッショナル・アシスタンス部・アシスタント・マネージャー)、ナビゲーター菅野百合弁護士)
藤田直介先生の基調講演
藤田先生は、ゴールドマン・サックス証券で法務部長をしていた2015年に部下のカミングアウトを受けた経験をきっかけにAllyとしての歩みを始められました。本講演では、その体験とともに、Allyとして職場でできることや、組織が果たすべき役割についてお話しくださいました。
キャリアの約4分の3はAllyではなかったという先生ご自身のパイチャートを示しながら、「理解は年齢に関係なく、「知ること」から始まる」と述べられ、50代からでも変化できることを強調されました。
部下からカミングアウトを受けた際は予期せぬタイミングであったものの、打ち明けてくれたことへの感謝を伝えること、本人の希望を傾聴すること、意向に基づいて対応を進めること、の3点が非常に重要であると述べられました。特に初動対応を誤るとその後の信頼関係や職場環境に大きく影響することから、「最初の対応が極めて重要」と繰り返されました。
カミングアウトを受けた後は、組織内でのコミュニケーションの円滑化や、当事者のパフォーマンス向上など、ポジティブな変化が生まれたことを実感されたそうです。また、組織全体として心理的安全性を確保するためには、直属の上司だけでなく、人事部門、経営層の支援が不可欠であり、当時はトップの名代として「サポートする姿勢」を本人に伝えたといいます。
藤田先生のAllyとしての活動はその後、LLANの理事として企業・大学での研修・講演活動や、同性婚をめぐるアドボカシー活動、書籍・記事の執筆など、多方面に広がっています。Allyを増やすには、「ステッカーやバッジで支援の意思を可視化すること」や「対話を通じた理解の促進」が有効だと紹介されました。
最後に、Allyとして何か読むとすれば「判決文を読むこと」を推奨されました。特に、同性婚を巡る高裁判決における事実認定には、社会の変化や当事者の状況が客観的かつ丁寧に記されており、深い学びにつながると締めくくられました。

Fujita Naosuke
LGBTQとアライのための法律家ネットワーク(LLAN)共同代表及び共同創設者。早稲田大学法学部卒、米国ミシガン大学ロースクール法学修士。1987年弁護士登録(39期)。ゴールドマン・サックス証券株式会社法務部部長時代(2009年3月−2019年12月)部下のカミングアウトを受けたのをきっかけにLLANの活動を開始。2017年6月本団体の活動に関連して英フィナンシャル・タイムズ企業の法務部門に関する「最も革新的な法務責任者」部門を受賞。「法律家が教えるLGBTフレンドリーな職場づくりガイド」(2019年12月)編著。
Q&Aセッション
Q&Aセッションには、執行パートナー中山龍太郎、主に競争法・通商法、およびビジネスと人権サステナビリティの分野を取り扱う水野挙徳弁護士、本年新任役職者としてSOGIハラ研修を受講したプロフェッショナル・アシスタンス部アシスタント・マネージャーの小林万梨子が登壇し、それぞれの立場で日頃から気になっていることを直接藤田先生に質問しました。
どの質問・回答も、グローバルな潮流と日々の業務の接点を意識した内容であり、参加者にとって学びの多いセッションとなりました。
(登壇者:藤田直介先生、中山龍太郎弁護士、水野挙徳弁護士、小林万梨子(プロフェッショナル・アシスタンス部・アシスタント・マネージャー)、ナビゲーター菅野百合弁護士)

参加者の感想
会場から参加したメンバーは、昼食をとりながら、時に頷きながら聞いていました。
セッション終了後のアンケートでは、参加者から下記をはじめとし、多くの感想が寄せられました。
「前半の基調講演は大変わかりやすく、身近に感じることができました。
また後半のパネルディスカッションは執行パートナーの考えや弁護士・スタッフそれぞれの立場でどのように考えていくことができるかを知ることができて大変有意義な時間となりました。」
「I learned more about awareness and support in Japan, and particularly in the corporate workspace.」
終わりに
本トークセッションを通じて、当事務所が法律事務所としてセクシュアルマイノリティを支援する意義、また弁護士や管理職の立場でAllyを表明することの重要性について、改めて考える貴重な機会となりました。当事務所では、プライド月間に限らず、すべての方にとって安心して働ける職場環境の実現を目指し、経営層や管理職をはじめとする所内のさまざまな層に向けた継続的なインプットや取り組みを行っています。今後もこうした機会を通じて、誰もが尊重される職場づくりを進めてまいります。