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Cross talk: 弁護士法人西村あさひ法律事務所福岡事務所開設10周年 記念座談会

「アジアの玄関口」福岡からアジアに展開する、
西村あさひのワンストップサービス

はじめに

西村あさひの法人組織である弁護士法人西村あさひ法律事務所福岡事務所は、2023年に開設10周年の節目を迎えました。本対談では、福岡事務所所属の弁護士と、国内外で連携機会の多い、東京・シンガポールの各事務所に所属する弁護士によるクロストークで、福岡のこれまでの歩みを振り返るとともに、地元に寄り添う拠点ならではの存在意義、そして今後の10年に向けた展望をお話しします。

参加者

参加者自己紹介

尾崎:本日、モデレーターを務めさせていただく、尾崎恒康と申します。
このたび、弁護士法人西村あさひ法律事務所福岡事務所が開設10周年を迎えることができましたのも、クライアントの皆様をはじめ、多くの方々のご支援あってのことと思っております。心より御礼申し上げます。本日の座談会では、クライアントの皆様と歩んできた軌跡の振り返りや今後の展望について、福岡事務所所属の弁護士のみならず、日頃さまざまな案件で協働する東京、シンガポール事務所所属の弁護士にも参加いただき、お話しできればと思います。
さて、まずは私自身の紹介をさせていただきます。私は2005年に検事を退官すると同時に前身の西村ときわ法律事務所に入所し、2008年1月から2013年6月まで同事務所のパートナーを務めておりました。2013年7月の福岡事務所開設以来、出身地である福岡にて、10年余りにわたり福岡事務所の代表を務めております。福岡事務所では、組織運営の責任者を務める一方で、具体的な案件にも対応しています。もともとの専門は、危機管理、民商事紛争、コンプライアンス、コーポレートガバナンス辺りですが、これに限定せず、顧問先をはじめとする九州・中国地方の企業様からの、さまざまな法務相談に日々対応しております。

座談会の様子

山中:シンガポール事務所の拠点長をしております、山中政人と申します。もともと私はファイナンス、特にキャピタルマーケットを担当しており、国内外の複数の法律事務所での執務経験を経て、2008年、西村あさひに入所いたしました。2012年のシンガポール事務所開設のタイミングより同地に駐在しております。現在は、キャピタルマーケットに加えて、M&Aなどのコーポレート案件やファンドの立ち上げなどの法分野について、シンガポールのみならず、マレーシア、インドネシアを含む幅広い地域において、現地法律事務所との協働のもと、執務にあたっています。我々の拠点も開設12年目に突入いたしましたので、本日は、その経験からお話をさせていただくことで、この座談会に少しでも花を添えられればと考えています。よろしくお願いいたします。

菅野:東京事務所でパートナーをしております、菅野百合と申します。私は、M&A、事業再生、労働分野を主な取り扱い領域としています。福岡事務所の中川弁護士とは事業再生と労働、平田弁護士とは労働と、取り扱い分野が共通していることもあり、さまざまな案件で協働しています。M&A案件では福岡に本社のある企業、事業再生案件では、特に九州地方のカバーが必要な全国に拠点のある企業などにおいて福岡事務所と連携しており、専門性と地の利のある福岡事務所の存在をいつも頼りにしています。
また、2021年からは、福岡に本社がある上場会社の社外取締役を務めております。ここからさまざまな人的交流が生まれていますし、福岡は地域コミュニティが活発で、皆さまが密にコミュケーションをとっていらっしゃるので、共通のお知り合いに出会うことも多いです。余談ではありますが、福岡は東京とは違い、20分ほどでゴルフ場に到着できるので、ゴルフ交流がこんなにやりやすい都市もあまりないと思っています。本日はよろしくお願いいたします。

髙木:福岡事務所の髙木です。私は2004年10月に弁護士となり、当事務所に入所しました。2011年の夏から2年間ほどアメリカに留学し、帰国後しばらくは東京事務所、2014年1月から福岡事務所で執務をしています。弁護士としてのキャリアの半分以上を福岡事務所で積んでいるということになります。弁護士となった当初からM&Aやジェネラルコーポレートを中心に仕事をしており、福岡事務所での執務を開始して以降も、それを軸として仕事をしながら、国内の案件のみならず、英語を使った海外の案件も扱っています。
私は熊本県の出身ということもあり、いずれは九州のために何か仕事をしたいという漠然とした気持ちがありました。アメリカから帰国する頃に福岡事務所開設の話を知り、結果がどうなるか分からないものの、チャレンジしてみたいという思いが高まり、福岡事務所への移籍を決意しました。

 

伊藤弁護士と藤井弁護士

中川:福岡事務所の中川佳宣です。私は2010年に西村あさひに入所しました。もともとは菅野弁護士と同じく東京事務所の事業再生チームに所属していましたが、福岡事務所開設を機に福岡へと移りました。現在は、引き続き事業再生案件のほか、労働案件、M&A案件、そして顧問先を含むクライアントの皆様からの日々のご相談としてジェネラルコーポレート案件を手掛けることが多いです。福岡事務所開設10周年ということは、私が生活拠点を福岡に移してからも既に10年以上が経つこととなりますが、これからも福岡にどっぷり根付いていこうと思っています。

平田:福岡事務所アソシエイトの平田です。実は尾崎弁護士と同じ、北九州市出身です。弁護士登録と同時に、北浜法律事務所の福岡オフィスに就職しました。そこで4年ほど、主に企業の民商事紛争・訴訟対応から家事事件・刑事事件・少年事件など幅広く対応していました。2017年に西村あさひに籍を移し、そこから2年間の東京事務所勤務では、太田洋弁護士のチームでM&Aや民商事紛争などを中心に対応しました。2019年に地元の福岡事務所に戻ってからは、日々の契約書チェックや労務相談などの顧問業務、尾崎弁護士のもとで危機管理案件や、髙木弁護士とともにM&A案件、デューディリジェンス案件などの対応をしております。

尾崎:平田弁護士は、福岡事務所初の中途入所弁護士です。なぜ西村あさひへの入所を希望したのですか。

平田:弁護士としての専門性をより高めたいと模索していた時期に、公私にわたって西村あさひの弁護士の皆さんと接する機会があり、魅力を感じて移籍を決めました。入所以降、福岡事務所での業務に加え、東京事務所その他の拠点との協働を通じて、高い専門性に裏付けられた案件対応から様々なことを日々学んでいます。

開設10周年を振り返って – クライアントに寄り添うサポートで築いた強固な信頼関係

尾崎:では早速座談会に入りたいと思います。福岡事務所の設立の経緯や、10年間の歩みをお話できればと思っています。設立時の背景については、2023年に公開した弁護士法人設立10周年・札幌事務所開設記念座談会でもお話させていただきましたが、福岡をはじめ、九州・中国地方には、上場/非上場を問わず、優良企業が多数存在します。アジアの玄関口とも言われる福岡を中心として、日本企業のアジア進出意欲も旺盛であるという実感もありました。また、同時期にシンガポールをはじめ、北京やホーチミンに拠点を開設するなど、西村あさひとしてのアジア進出のタイミングとも重なったことから、九州・中国地方における高度な専門性や迅速性を必要とする案件、クロスボーダー案件等の複雑で特殊な案件には、我々のような、国内外にネットワークを持つ法律事務所がお役に立てる機会が多くあるのではないかと感じていました。このような流れの中で、九州・中国地方の企業においても、地元に密着しながら、こういった専門的あるいはグローバルなリーガルサービスを提供する弁護士へのニーズは高まっているはずだという見立てもありました。

モデレーター 新家弁護士

東京からの対応も当然可能ではありますが、やはり地元に根ざし、近い距離でクライアントに寄り添うことで、強固で深い人間関係や信頼関係を築けますし、よりきめ細やかなリーガルサービスを提供することも可能になる、との思いから福岡事務所を設立することとなりました。
コロナ禍を受けオンライン会議やリモートワークの活用が広がり、地理的な制約はなくなってきてはいるものの、福岡起点のサービスはまだ必要とされていますし、「近くにいるからこそ頼れる」福岡事務所の立ち位置は、今後も変わらないと思います。

さて、こうして開設から10周年を迎えることができた訳ですが、皆さん、これまでを振り返っていかがですか。これまでの軌跡への感想、印象的な案件など、福岡事務所の先生方に伺いたいと思います。

髙木:福岡事務所に来る前は、どのようなクライアントからどのような相談があるのか全くイメージを持っていなかったというのが正直なところです。実際には、西村あさひのブランドがあるから相談がたくさんくるということはなく、むしろ福岡での認知度は必ずしも高くなかったり、相談するには敷居が高いと思われたりで、当初は苦労しました。ひとつひとつの相談に丁寧に対応していく過程で、西村あさひに所属する弁護士としての信頼関係を構築し、徐々に相談が増えてきたという印象です。
東京事務所にいた頃との比較になりますが、東京では、大規模な案件や複雑な案件の割合が多く、パートナー1名とアソシエイト2~3名あるいはそれ以上で対応するのが通常でしたが、福岡では、より少人数で対応する案件や、費用対効果を考慮しつつ適時に処理すべき案件が多くあります。そのため、各弁護士がクライアントと密にコミュニケーションをとりながら責任を持って対応することが重要となってきます。このような対応を積み重ねていくことで、さらにご相談いただけるという関係性が構築できていったと思います。また、クライアントのご担当者の大半は九州在住の方であり、九州を盛り上げようという気持ちのある方が多く、そうした気概に感化されて自分も楽しく仕事ができています。

尾崎:東京では、国内最大の法律事務所として西村あさひの認知度は非常に高いのですが、開設当初の九州・中国地方においては必ずしもそうではなかった印象です。ですから最初の半年間くらいは、毎日のように菓子折を携えて多くの企業に営業訪問をし、西村あさひの紹介や福岡事務所開設の意義などについてのプレゼンをしていました。アポを取る段階で門前払いになることもありましたが、めげずに電話をかけ、あるいはメールを送ってはひたすら飛び込んで、ということを続けました。当時をクライアントと振り返り、「菓子折持参の弁護士が訪問してくるなんて初めてで仰天した」という声をいただいたこともあります。こうして、小規模な案件のご相談をいただき、それを丁寧にこなしていくということを重ねるうち、福岡事務所の存在意義や果たしうる役割について企業の皆様にご理解いただけるようになり、「この案件をお願いできますか?」というご相談をひとつ、またひとつ、といただけるような信頼関係の構築へと繋がっていきました。

 

伊藤弁護士と藤井弁護士

中川:私は九州出身ではなく、福岡事務所に移籍した当初は九州のクライアントの皆様に受け入れていただけるか心配しましたが、個々の案件を丁寧にこなしたり、いろいろな会合等に顔を出すようにしたりといったことを積み重ねることによって認知度や信頼を高めることができ、次第に案件も増えていきました。もともと東京事務所でも大型の事業再生案件に加えて、日々の法律相談対応も多く取り扱っていましたので、福岡事務所で日々対応する業種・分野を問わない多種多様な案件にも違和感なく移行できたと思っています。

菅野:中川弁護士はグルメでいろんなお店を知っている印象がありますが、これはきっと福岡に溶け込み、地元コミュニティーとの親交を深めるためなのかな、と思うことがあります。クライアントからお店の名前が出ると「そのお店知っています」「オープンしたてのお店ですよね」という反応がすぐさま出たり、アンテナを広く張っていると感じます。

中川:それは趣味の部分もありますね(笑)。確かに福岡のグルメ情報は頻繁にチェックしています。もともとは菅野弁護士も参加した食事会がきっかけでしたが、グルメの話で盛り上がり、それ以降、定期的にお店の新規開拓をご一緒しているクライアントもいます。九州にはお酒好きな方や、グルメな方が多いので、そういったところからも人脈が広がったりしますね。

尾崎:グルメに限らず、中川弁護士は「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」とか、九州各地のイベントにも顔を出していますよね。

中川:そうですね。例えば、「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」は、始発電車に乗って佐賀に行き、朝の競技の大半を見終わってから職場に行っても、通常どおりの業務時間に間に合います。そういったイベントには地元企業の方々がスポンサーに名を連ねていらっしゃるので、それで話が盛り上がったりもします。また、そこから地元ならではの案件受任に繋がることもあります。

 

伊藤弁護士と藤井弁護士

平田:私は福岡出身なので、福岡・九州の企業には人一倍愛着があります。私が弁護士を目指したきっかけは、中小企業の経営者である父の存在が大きく影響しています。リーマンショックの際、父の会社の経営が厳しいという話を耳にするものの、家の中ではそのようなそぶりは一切みせませんでした。そんな父の、経営者としての孤独というか、ヒリヒリとしたものを感じた時に、経営者をサポートする弁護士という職業を志したいと強く思いました。今こうして経営者に寄り添い、公私ともに近い距離でお仕事をさせていただけることが私のやりがいですし、これは福岡事務所ならではの良さだと思っています。
思い入れの強いエピソードとして、私が弁護士になりたての頃から公私ともに親しくさせていただいている企業が経営危機に直面した際、東京事務所の弁護士とともに事業再生に取り組み、結果として事業を守ることができました。このために弁護士になったのかなと思うような案件はいくつかありますが、そのうちのひとつとして、本当に思い入れの強い案件です。

菅野:まさに西村あさひの総合力が活きた案件でしたね。

クライアントが求める「安心感」を起点に、ワンストップの強みを最大活用

尾崎:西村あさひは現在、国内外に20の拠点を構え(※)、アジア全域にネットワークを持っています。福岡事務所のみで完結する案件もたくさんありますが、それ以外にもこの10年間、日々の業務において、他の拠点の皆さんにも多大なるご協力・ご支援をいただいています。この10年を振り返って、福岡事務所絡みの案件で印象的なものや、このネットワークの活用などについてお伺いしたく、普段、案件対応をともにする機会の多い東京とシンガポールから、お二人に参加いただいています。西村あさひならではの総合力、つまりワンストップサービスについて、福岡事務所との関係だけに限らずお話しいただければと思います。

新家弁護士と坪野弁護士

山中:西村あさひの特徴としてはやはり、多岐にわたる業務分野と、13カ国(※)で事業を展開していることだと思うんですね。例えば、福岡の会社でシンガポールの企業を買収したいというクライアントがいらっしゃった時、必ずしもシンガポールのみで完結せず、買収対象の企業が複数の国に子会社を構えているということもよくあります。こうした場合、それぞれの国で別途法律事務所を探さないといけないのですが、西村あさひは前述の通り、13カ国に拠点を持つのみならず、いろいろな国の法律事務所とのコネクションがあります。そうした複数国にまたがる案件では、福岡事務所の弁護士が窓口となり、具体的な海外拠点の法律問題については各拠点に所属する弁護士やネットワーク先が対応します。窓口である福岡事務所と我々のような現地対応者が密接に稼働することで、こうした複数の国に渡る企業買収を効率的に行うことができます。
アジア各国で事業を展開する企業が当該地域から撤退したいといったケースでも、対象となるアジアの各拠点国の個別の問題にどう対応すべきか、という課題が発生します。そんな時、オンライン会議で関係者を一斉に集め、まずは撤退についてのご説明、それから拠点毎の問題点を整理し共有するといったことをします。このような場合に、ネットワークのない法律事務所であれば現地のリーガルカウンセルを探すところから始めなければなりませんが、我々は各海外拠点における現地法と日本法について、それぞれ知見を有する弁護士を速やかにアサインすることができます。このようにワンストップで迅速に対応できる点が我々の強みだと思っています。

尾崎:シンガポールを含むアジアの各拠点とは、ともに九州・中国地方のクライアントを支える仕事をしている実感がとても強いですし、これを可能にするアジアの多拠点展開は我々の強みそのものですよね。もちろん、拠点がない国においても西村あさひのローカルネットワークは存在していますから、こうしたネットワークの広さ・強さが、福岡事務所のクライアントにとって魅力的なポイントのひとつと感じていただけているように思います。何か困ったことがあったらとりあえず西村あさひに駆け込めばなんとかなる、少なくとも何かヒントはもらえる、と思っていただける存在になりたいと思っています。
また、クライアントが九州・中国地方の本社から海外の子会社や関連会社の視察などで現地へご出張される時、「ぜひ、西村あさひのシンガポール拠点へご挨拶に伺いたい」などと仰ってくださることもよくあります。こうして、クライアントと西村あさひの海外拠点間における交流が深まり、より強固な信頼関係の構築に繋がったりもします。こういった時に、福岡事務所でクライアントと西村あさひとのリレーション強化のお手伝いをさせていただけていると実感します。

山中:我々も、そうしていらしてくださった方には必ずお土産というか、何かしらお役に立つ情報をお渡しできるように心がけています。

尾崎:コロナで中断はしてしまいましたが、山中弁護士に出張いただき、クライアント向けにアジアの最新動向の話をしてもらったりもしました。あれはすごく好評でしたし、是非またやりたいですね。

菅野:山中弁護士も指摘されたワンストップサービスですが、東京のクライアントで、九州に事業所や工場をお持ちの企業からM&Aや事業再生のご相談をいただく時、福岡事務所が九州をカバーしていることをお話しすると安心していただけます。また、実際に先方の現地拠点で面談する際にも、東京事務所所属である私のほかに、福岡事務所所属の弁護士が同行することをお伝えすると、とても安心されるのを実感します。地元のことが分かる弁護士がいる、という安心感をクライアントにも提供できるのはとても意義があります。
また、労働審判申立や訴訟提起などが九州でなされた場合でも、地の利があるのですぐに駆けつけられますし、地元対応が可能なので東京からの出張が必要なくなるなどのコスト面や、ご自身で地元の弁護士を探す手間も省けるなど、クライアントにとってのメリットも大きいかと思います。逆に、東京での対応が必要という際には、こちらも喜んでご相談にのらせていただきます。
コロナ禍は本当に大変でしたが、リモートワークやオンライン会議へのハードルがぐっと下がり、他拠点との連携がすごく自然にできるようになった点は、コロナがもたらした恩恵と言えるかもしれません。もはや、仕事の上で「拠点」という区分すらそもそもいらないかも、という状況で、まさにボーダーレスですよね。

新家弁護士と坪野弁護士

尾崎:ところで、東京から見て、九州・中国地方のクライアントならではの特徴というのはありますか?

菅野:そうですね、テクニカルなことだけではなく安心感を求められているのかな、と感じることはあります。もちろん法律の専門性があることは大前提ですが、ピンポイントにリーガルアドバイスを即時に提供することよりは、「○○弁護士に大丈夫と言ってもらえた」ということをすごく大事に思っていただける印象です。

尾崎:西村あさひに抱く印象も、東京と九州・中国地方の企業とでは多少異なるように思うことがあります。はじめは近寄りがたいというイメージから当事務所への案件依頼をためらわれる企業も少なくないですが、何かのきっかけでお仕事をご一緒させていただくと、「こんなにこちらに寄り添ってもらえるとは知りませんでした」などとおっしゃってくださり、今後につながるケースも多くあります。このような信頼関係は一朝一夕にいくものではありませんので、時間をかけて築いていくしかないと思っています。

これからの10年に向けて ー 福岡事務所の「あり方」、西村あさひとしての成長を考える

尾崎:西村あさひは2023年9月、真のグローバルファームに向けて成長を続ける意志を体現すべく、ブランドの刷新を行うとともに、外国法共同事業を開始する運びとなりました。西村あさひ全体としても著しい変化・前進を続けていますが、福岡事務所としても今後の10年に向け、進化し続けたいと考えています。皆さんの意気込みをお聞かせください。

髙木:これまでの10年間は、今後の福岡事務所の成長にとっての基礎を形成するものであったと思います。この10年間で西村あさひの認知度も高まり、クライアントとの信頼関係も築くことができたように思います。また、福岡事務所として今後成長していく方向性も見えてきたように思います。
福岡事務所は単なる出先機関ではなく、クライアントに近いところでサポートをするというのが大きな役割です。その意味で、福岡事務所が今後成長していくためには、ここに所属する弁護士の個々人の能力のさらなる向上や、西村あさひのブランドにふさわしい、福岡事務所を支える人材の確保が重要になると思います。西村あさひの理念を体現できるよう、今後の10年も努力したいと思います。

中川:10周年を迎えた今期は、福岡事務所としての基礎固めの時期を終え、次のステップを見据えてアクションを起こしていく節目であると思っています。これまで続けてきたきめ細かなリーガルサービスの提供など、変えてはいけないものはそのままに、次の10年のために何ができるのかを具体的に考え、試行錯誤しながら実践していく10年にしていきたいと思っています。ここ福岡には、我々以外にも素晴らしい法律事務所や弁護士の方々が多くいらっしゃいますが、その中から「西村あさひの福岡事務所にお願いしたい」とご指名いただけるような存在、そして弁護士でありたく、そのための自己研鑽にも努めていきたいと思っています。

平田:福岡における我々の存在意義や強みを考えるに、危機管理やM&A、事業再生など一世一代となるような重要な局面において、クライアントにとって最良の形で着地させるということが、福岡事務所が提供できる価値なのかなと感じています。日々の顧問相談等での信頼の蓄積を経て、地元の皆様から「重要な案件は西村あさひに任せたい」と思っていただけることが理想です。また、先ほどお話ししたような事業再生や海外案件などで、他拠点の弁護士と協働しておりますが、私自身が仲介役だったり、ハブとしての役割を担えるようになっていきたいです。

 

伊藤弁護士と藤井弁護士

山中:ここ10数年ほど、西村あさひは、対日投資により日本経済を盛り上げていただきたいとの思いのもと、日本を中心としたインバウンド・アウトバウンド案件におけるベストソリューションの提供に努めてまいりました。そのような中で、多数の国に拠点を設置し、各国・各地域の資格を持つ弁護士を集め、人材の質を高める努力をしてきましたが、今後もこの点を継続しつつ、さらに幅広いサービスを提供できるよう体制を整え、クライアントの皆様をサポートし続けられればと考えています。今後、さらにグローバルファームになっていくという意味では、すでに在籍している数百人の優秀な外国人弁護士を含めた人材の育成を進めるとともに、優秀な人材をより多く集めることが必要になると思っています。次の10年、日本国内のみならず、世界に向けて最適なリーガルサービスを提供する法律事務所として歩んでいきたいです。

菅野:福岡事務所のメンバーとは、これまでも非常に良い関係で連携できており、これからの10年も、良好な関係を維持しながら協働できればと思っています。この連携こそ、ワンストップサービスという強みであり、クライアントにもそれを体感していただければと思います。また、福岡で社外取締役を担うご縁で培った人脈をさらに広げ深めていきたいという理由はもちろんのこと、ご飯もおいしく美しい自然もたくさんある九州に、今後もたくさん訪れたいという想いが強くあります。そういったモチベーションをいかして、福岡事務所の益々の発展に貢献していきたいと思います。

尾崎:皆さん、ありがとうございます。西村あさひは現在、国内のみならず、アジアを中心に北米・欧州を含め全20拠点、800名以上の弁護士・プロフェッショナルを擁する(※)、日本を代表する法律事務所となりました。その全弁護士が専門性を持ち寄りながら緊密に連携し、クライアントのビジネスへの深い理解に努めつつ、ビジネスニーズに即した最適な戦略的ソリューションを提供できるよう日々切磋琢磨しています。今後も、複雑な案件や、国際的案件、専門知識をいかさなくてはならない案件など、さまざまなニーズに即応し、いかなる局面でも「Leading You Forward」をお約束し、クライアントと社会の発展への貢献を目指す中、福岡事務所も、その一翼を担う存在であり続けたいと考えています。
本日はどうもありがとうございました。

(※)2024年2月末時点/一部の提携事務所およびアライアンス事務所を含む