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Cross talk: 弁護士法人設立10周年・札幌事務所開設記念座談会

ワンストップで最適なチーム体制を日本全国に

はじめに

西村あさひの法人組織である弁護士法人西村あさひ法律事務所は、2022年に開設10年の節目を迎えました。そして、新たな一歩を踏み出す本年4月1日、当事務所は札幌事務所を開設いたしました。
本対談では東京・大阪・名古屋・福岡各事務所に所属する弁護士と、新たに開設された札幌事務所の拠点長である坪野弁護士によるクロストークで、弁護士法人西村あさひ法律事務所のこれまでの歩みを振り返るとともに、今後の展望、そして新たな一歩を踏み出すこのタイミングで札幌に新事務所を開設した背景をお話しします。

参加者

参加者自己紹介

新家:本日の座談会は、弁護士法人西村あさひ法律事務所の10周年にあたり、10年間の振り返りと今後の展望、そして新たに開設する札幌事務所について、実際に国内各拠点の運営に携わっている先生方にお話しいただこうという企画です。 モデレーターは、当事務所執行委員会から、私、新家寛が務めさせていただきます。

伊藤:弁護士法人西村あさひ法律事務所の主事務所である東京事務所で社員を務めている伊藤です。2012年の弁護士法人西村あさひ法律事務所の設立時に名古屋事務所の責任者として名古屋に参り、7年半程、名古屋事務所にて執務をしました。2020年に名古屋事務所を藤井弁護士に引き継ぎまして、弁護士法人の主事務所である東京事務所に移籍しました。現在は、東京事務所にて税務案件を中心に執務するほか、各地方拠点を東京からバックアップする役割を担っております。

座談会の様子

臼杵:大阪事務所共同代表の一人を務めている臼杵です。M&A/コーポレート、アクティビスト対応、危機管理、紛争対応など、国内外を問わず多様な案件を担当するとともに、大阪事務所起ち上げ以来、大阪事務所共同代表として、大阪事務所のマネジメントにも携わっております。

藤井:名古屋事務所で拠点長を務めている藤井です。東京事務所で8年ほどM&A/コーポレートのグループに所属していましたので、それが専門分野でしたが、2014年から名古屋に移り、2020年1月から伊藤弁護士に代わって名古屋事務所の拠点長となって、今は東海地域における窓口としての役割を担っていますので、危機管理、訴訟等も含め、あらゆる分野の案件に携わっています。

尾崎:福岡事務所で拠点長を務めている尾崎です。福岡事務所開設前は、東京事務所の危機管理プラクティスグループで危機管理、コンプライアンス、ガバナンス、紛争等の案件を中心に手掛けていましたが、福岡事務所では、危機管理案件のみならず、M&Aから日常的な顧問業務に至るまで幅広いジャンルの案件を手掛けています。

坪野:札幌事務所の拠点長を務めている坪野です。2013年に西村あさひ法律事務所に入所し、コーポーレートとM&Aを中心に担当してきました。M&A分野では事業会社のほか、官民・民間ファンドのお客様向けにも支援を行ってきました。生まれは宮城県ですが修習地が函館であったり、2021年に道内企業に出向する等、北海道とのご縁に恵まれてきました。出向先では再エネほかエネルギー分野をサポートしていました。この度、出向終了と札幌事務所開設というタイミングもあり、札幌事務所の拠点長を務めることになりました。

弁護士法人設立10年を振り返って – 改めて考える地域に根付くことの価値や印象的な案件

新家:皆さん、よろしくお願いします。まず最初に、弁護士法人西村あさひ法律事務所の概要・沿革について説明いただけますか。

伊藤:西村あさひ法律事務所はもともと国内では東京にのみ事務所を構えていましたが、2012年8月に弁護士法人西村あさひ法律事務所を設立して名古屋と大阪に事務所を開設、翌年には福岡事務所も開設しました。本日現在、大阪18名、名古屋5名、福岡5名の弁護士・プロフェッショナルが所属しており、各地域のクライアントに寄り添ったサポートを行っています。昨年、国内拠点開設10周年を経て、今後に向けた展開として、今年2023年4月、弁護士法人としては国内5拠点目となる札幌事務所を開設しました。

新家:無事に10周年の節目を迎えた訳ですが、みなさんこれまでを振り返ってコメントください。2012年の大阪拠点開設時から関わっている臼杵弁護士、拠点開設時の思いを話していただけますか?

モデレーター 新家弁護士

臼杵:当時私は、東京で株主総会やM&A等を中心に担当していまして、その中でも関西のクライアントをサポートさせていただくことが多く、関西への出張機会が増えていました。その当時、オンライン会議は一般的ではなく、他方で我々も関西に拠点がありませんでしたので、関西に本社を置かれるクライアントがわざわざ新幹線に乗って東京まで出張されて会議を行うなど、我々の拠点が関西にあればもっと円滑・迅速にサポートできるのにという思いを持っておりました。その為、当事務所の国内展開が2012年に実現した時はとても嬉しかったことを記憶しています。現在は、IT技術の進展によってオンライン会議も一般的になるなど弁護士業務もかなり進歩し、また、その業務は複雑化、ダイナミック化していますが、大事な局面において場所的にもクライアントのそばに寄り添って必要なリーガルワークを提供することの重要性は変わらないと思います。

新家:名古屋はいかがですか?

伊藤:名古屋事務所を開設した当時、名古屋を中心とする東海地域は製造業を中心に多くの企業が既に海外展開をしており、国内でも会社法や金融法をはじめ法制度が複雑化する、危機管理案件など迅速かつ多くのプロフェッショナルの関与が必要とされる事件が生じるなど、従前のままでは必ずしも十分な対応ができない案件が増加するといった状況にあったと思います。そのような背景から、当事務所の拠点開設への需要の高まりを感じていました。また、当時、名古屋では、法務セミナーなどの最新のリーガル情報が提供される機会が必ずしも十分ではなく、当事務所が拠点を開設することにより、東海地域の企業のニーズに応じた企業向け法務セミナーを開催させていただくことも可能となり、東海地域の皆様に最新のリーガル情報を提供することの重要性や意義も感じていました。

新家:会社法や金融法、クロスボーダー、危機管理等複雑化しているトピックについて、最新の情報・知見をセミナー等を通じて提供しつつ、具体的案件においても近くで寄り添い一緒になって対応してきたということですね。

藤井:クライアントの近くで寄り添うことが最も大事な地方拠点の存在意義だと感じます。抱えている様々な案件や悩みについて、突然、全く知らない東京の弁護士に連絡するのはハードルが高いので、常に近くにいる弁護士に気楽に相談できることがクライアントにとっては大きいのではないかと思っています。

新家:名古屋の法律事務所や弁護士の先生方とは、どのように関係を深めていますか?

藤井:愛知県弁護士会に所属している先生方とは色々な場面でコミュニケーションをとっています。我々の専門外の案件についてご相談しており、逆にご相談いただくこともあります。お互いにご相談し合い、切磋琢磨しながら、良い関係を築かせていただいているのではないかと思っています。

新家:福岡事務所はいかがですか?

尾崎:福岡事務所は大阪と名古屋が開設した1年後に開設しています。大阪、名古屋の開設時点では福岡に事務所を開設する具体的な計画まではなかったのですが、国内各地のクライアントのニーズに積極的に応えていきたいという西村あさひ法律事務所の基本方針があり、これにしたがって次の拠点開設先の検討を進めた結果、福岡の地が選ばれたという経緯です。九州・中国地方には上場企業はもちろん非上場ながら優良な企業が多数存在し、当事務所の強みでもある複雑専門的な案件やクロスボーダー案件等のニーズが存在していることは、かねてより把握していましたし、アジアの玄関口とも言われる福岡を中心とする経済圏は、我々が目指そうとしている“日本企業の海外進出サポート”というコンセプトにもぴったりはまると当てはまるという思いもありました。福岡に拠点を開設することで、地域のクライアントに対してこれまで以上にきめ細やかなサービスを提供できるとの意見で纏まり、福岡事務所開設の運びとなりました。

新家:今まで話があったとおり、案件の専門性、複雑性にワンストップで専門家集団が対応できるというのはやはり当事務所の強みだと思いますが、東京や各拠点とのシナジーを感じた案件の実例を紹介してもらえますか?

臼杵:例えば、海外に複数の拠点を有するクライアントにおいて複数国にまたがる企業不正案件が発覚したような場合、現地で何が起きているか、事実関係を正確に把握した上で適時適切に対応することが極めて重要ですが、現地法令はもとより、その言語や習慣等についても通じている、現地海外拠点の当事務所弁護士や現地事務所と連携したことによりシナジーを実感した事例はこの10年でも少なからずありました。

尾崎:複数国にまたがるような案件というと、最近では、例えば情報規制などでグローバルで似たようなルール作りが進んでおり、その内容をタイムリーに把握したいというニーズなどもありますね。当事務所は、アジアを中心にヨーロッパ、アメリカを含め14拠点を有するほか、それ以外の国・地域も含めた強固なグローバルネットワークを構築しているので、世界各地から有益な情報をタイムリーに収集することができる点も強みだと思います。

藤井:クロスボーダー案件以外では、特殊な専門的知識や経験が要求される案件が多いですね。例えば、通商法関連のご相談などは特殊な専門的知識がなければ適切なアドバイスが難しいですし、アクティビスト対応等は、その豊富な経験がないと適切な対応が難しい分野です。そのような分野に関しては、東京その他の拠点のプロフェッショナルと連携して対応しています。

伊藤:次世代を考えて新規事業を検討されている企業も昨今はとても多いです。そういったケースでは、当該企業が経験したことのない分野に関するリーガル・チェックをする必要も生じます。様々なニーズに応えられる多様な専門性を有しているのも当事務所の強みですね。例えば、私自身は、自動車部品製造を主力事業とする企業から、医薬品等ヘルスケア分野のコンプライアンスのご相談をいただいて、東京事務所のヘルスケアチームと協働して対応した経験があります。

臼杵:アクティビスト対応という側面からいうと、近時は地方企業をターゲットにした活動が活発化している感覚があり、関西企業でも危機感を持っている企業は少なくありません。当事務所は国内各地に拠点を有していることから、各拠点開催のセミナー等を通じて必要な情報を提供したり、実際に案件を通じてサポートすることも少なからずあります。東京事務所等に所属するプロフェッショナルと連携して地方企業を支援してきた実績があり、クライアントから感謝の言葉をいただけたことも少なくありませんでした。

尾崎:依頼すべき法律事務所の選定が難しい案件、例えばTPPや、イランの経済制裁の解禁・強化、ロシア-ウクライナ紛争に起因する安全保障・国際通商関連の問題なども、当事務所に相談すれば解決できるのではと考えてご相談いただくことも相当数ありました。私の専門でいえば、監督当局・取締当局に対峙する案件、大規模なあるいは迅速さを要求される調査案件なども同様です。そういった面でも、九州・中国地方のクライアントに安心感を提供できているのではないかと思います。

新家:各拠点で案件取り組みをする際のチーム編成等、お話しいただけますか。

伊藤:拠点規模によっても対応の仕方が変わってくるところと考えていますが、大阪は所属人数も多く、カバー範囲が広いので大阪事務所のみで対応可能な案件もあると思います。そこで対応しきれない案件については東京や海外の弁護士などもチームに入って対応しています。名古屋・福岡は比較的弁護士人数が少ないため、より密に東京その他の拠点がバックアップし、チームを編成することが基本的な形でしょうか。

臼杵:仰るとおり大阪事務所のメンバーで対応できる案件も増えてはいますが、大阪事務所だけで対応しきれない複雑な案件も多く、また、大阪事務所では海外が絡む案件も少なくありませんので、個別案件の内容により各拠点の先生方とチームを編成する案件の方が多い印象です。
どこの地域のオフィスに案件の相談があったとしても、ワンストップで最適なチームを組成できる体制の整備は国内最大級の法律事務所として必須だと思いますし、当事務所は、その体制の整備に注力してきたと思います。

新家:10年間を振り返って、開設当初意図していた役割・意義が実現できているという感触はありますか?

伊藤:もとより地域のニーズがあると考えて拠点を開設しましたが、地域の皆様の様々なお話を直接聞くにつけ、当事務所が提供できるリーガルサービスのニーズに気づかされ、サービスの幅を広げてくることができました。10年間で、ITの進化は目覚ましいものがありますが、とはいえやはり地域に密着して企業の細かなニーズを肌で感じることの重要性はあると感じる日々です。

臼杵:大阪事務所開設当初は、特に海外絡みの案件で従前からお付き合いのあったクライアントのお役に立てればといった思いでおり、正直なところ大阪事務所の規模がここまで大きくなることは想像していませんでした。目の前のクライアントニーズに身近な立場で応えつつ、関西で根を張ることができれば、と思っておりましたが、いざ大阪事務所を開設すると、想像を上回るリーガルニーズがあったことに驚きました。2010年代からの日本企業の海外展開の勢いも一つの追い風となっていたと思います。他方で、コロナ禍の直近3年間、事業の継続のためには、どの企業もDX対応をはじめ多種多様な変化に対応し続けなければならない社会経済情勢となり、クライアントが求めるリーガルサービスのレベルもさらに複雑性、専門性が増しています。クライアントからの高まるニーズに応えられるよう大阪事務所も成長し続けていく必要は日々感じていますし、その期待に今後も応えていき、クライアントと一緒に成長・発展できることを常に意識しています。

尾崎:福岡事務所は、コロナ禍で若干足踏みこそしたものの10年間順調に成長している手応えがあります。最近ではリモート会議が日常に定着してきたこともあり、福岡事務所との行き来がしづらい等でなかなかカバーしきれていなかった地域のクライアントの依頼にも応えられる環境となっており、今後益々活動の場が拡大していくであろうという実感があります。コロナ禍を経たからこそ手に入れられたツールや経験も活かしながら、これまで必ずしもリーガルサービスを提供できていなかった地域や企業の皆様とも積極的に関係構築していきたいと思います。

藤井:地方拠点の意義は、地域のクライアントに寄り添う、近くにいていつでもご相談をいただけることにあると思うので、引き続きクライアントと密にコミュニケーションをとっていきたいですね。

新家:西村あさひ法律事務所は、「法の支配を礎とする豊かで公正な社会を実現する」という基本使命を掲げ、社会への貢献を通じて法律事務発展に寄与することを基本理念の一つとしています。拠点開設・運営を通じて、この点を実感することがありますか?

伊藤:国内拠点を開設して以来、地方企業の法務・コンプライアンス部門の方々に様々な情報を提供することができたと思います。また、我々が地方拠点を開設したことにより、他の法律事務所も東京以外の地域に拠点を構え、様々な情報提供・情報発信をされています。当事務所の「法の支配を礎とする豊かで公正な社会を実現する」という基本使命を考えたとき、そのような法律事務所が提供・発信する情報により法務・コンプライアンス部門の方々が知見を深め、自社のリーガル・リスクやコンプライアンス体制を検討され、その過程で我々にご相談いただくといったサイクルがこの10年で回るようになってきたと感じることが増え、喜ばしく思っています。

臼杵:切磋琢磨しながらステークホルダー全体でレベルアップしているような感覚があります。当事務所の強みである最新の法務情報の発信、これに基づく必要なリーガルワークの提供等を通じ、関西全体の活性化につなげたいということを心掛けてきました。当事務所の基本使命を実現する上で申し上げたいのは、我々はあくまで関西の方々が更に輝くためのサポーターですという気持ちで10年間やってきましたということです。関西には「三方よし」という言葉がありますが、我々が、関西企業を含む関西の方々が更に輝く礎となり、その結果、関西の、ひいては日本全体の成長につながれば、我々の成長にもつながる、こういう意識で励んでまいりました。我々の行動原理が「三方よし」で日本全体の発展につながれば、こんな嬉しいことはありませんね。

尾崎:私は、法務部門という枠を超えた企業としての法務機能の底上げに少しでも貢献していくことを通じて事務所の理念を実現したいと思っています。法務機能は企業の競争力の源泉であり、法務機能の強化は企業の長期的持続的発展に欠かせないものといえます。具体的な案件を通じてクライアントと密なコミュニケーションを取ること、また、セミナー等を通じて当事務所がもつ最新の知見・ノウハウ・情報を積極的に対外発信すること等を通じて、クライアントの法務機能の強化に少しでも貢献していくことができればと思います。

臼杵弁護士と尾崎弁護士

札幌事務所開設 – 法人設立10年を迎えたいま、札幌に拠点を開設する意義

新家:さて、冒頭でもお伝えしたとおり、当事務所は2023年4月1日付で国内5つめの事務所として、新たに札幌に事務所を開設しました。坪野弁護士、札幌事務所の概要を紹介ください。

坪野:札幌事務所は、東京発の大手法律事務所としては初の北海道拠点となります。当事務所はこれまでも各拠点から道内企業の皆様や北海道におけるプロジェクトをサポートしてきましたが、札幌事務所を設立することで、より身近なところでご相談をいただきながら、これまで以上にきめの細かいサポートを提供していきたいという思いです。常駐する弁護士は、当初は私1名ですが、ご相談いただいた案件については当事務所の800名を超える弁護士・プロフェッショナルの中から、その業務分野に強みを持ち、かつその案件に最適なメンバーとチームを組んで対応していきます。
また、道内事務所の経験豊富な先生方との交流を通じて、先生方によるご対応が最適な業務分野や案件も多いと感じており、西村あさひ法律事務所の枠を超えて、ご協力を仰いでいきたいと考えています。加えて、出向先での事業部門での勤務や社内研修講師の経験を通じ、経営層や事業部門の皆様に企業法務の考え方をお伝えすることも重要だと感じており、道内企業の皆様向けの研修活動や、機会をいただければ学生向けの教育活動にも力を入れていきたいと考えています。

新家弁護士と坪野弁護士

伊藤:札幌事務所を開設し、東京以北の拠点を設置したことで、当事務所としては日本全国をカバーできる体制をとることができるようになったと考えています。それと共に、大阪・名古屋・福岡事務所と同様、地域に拠点があり、坪野弁護士がいることで、我々が認識できるニーズが拡大すると感じています。東京からだけでは十分に認知できず、サポートできなかったクライアントニーズを捉えて事務所全体でリーガルワークを提供できる体制が取れるようになったと思っているところです。

新家:ちなみに、坪野弁護士は北海道の大ファンだとか?

坪野:出身は宮城ですが、幼いころに北海道を舞台としたドラマを見て、雪景色や街並みがとても綺麗で、北海道の大ファンになりました。大学から東京に移りましたが、毎年旅行に来たり、修習地を函館にするなど、昔からの気持ちは変わらずもっていました。2013年に当事務所に入所し充実した仕事をしておりましたが、留学を考える年次になったとき、北海道へ基盤を移したいと考えるようになりました。クライアントであった道内企業に出向の機会をいただき札幌に移りまして、新規事業部門でご指導いただきつつ、様々な部門からのご相談や社内研修の機会をいただくなど、大変温かく迎えていただきました。そうした日常業務と並行して、出向先や先輩弁護士から道内の企業や弁護士の先生方のご紹介をいただいて、意見交換を重ねてまいりました。当事務所が道内企業の皆様に貢献できる業務分野が見えてきたこともあり、この度の拠点開設へと繋がりました。
札幌事務所では、伝統的な企業法務の領域はもちろんですが、人口減少・少子高齢化やDX対応、ESG・SDGsをはじめとする様々なサステナビリティ対応など社会の変化に伴う新たな取り組みのサポートに、特に力を入れていきたいと考えています。こうした新しい取組みは、企業文化や規模の全く異なる相手方との取引や提携・買収、未経験の取引や規制、新市場への進出等、法務の観点からも難しい課題を伴うものも多く、当事務所が最も強みを発揮できる場面であると考えています。

新家:他拠点の皆さんから、札幌事務所開設の意義について考えを聞かせてもらえますか?

臼杵:日本が更に活性化していくには、大阪をはじめとした関西の発展も勿論ですが、今後の少子高齢化の加速も考えると、多極的な国家にならなくてはグローバルプレゼンスを維持することは難しいと個人的に感じています。東京以北に目を向けると、当事務所のこれまでのサポート体制は決して充分だったとは言えません。先ほども申し上げましたが、日本全国あまねくサービスを提供できる体制を敷き、日本全体の発展を支えることは「法の支配を礎とする豊かで公正な社会を実現する」という基本使命を掲げる当事務所が果たすべき役割だと思いますし、日本の発展がなければ当事務所の発展もないと思っています。そして、個人的には若いチャレンジャーが北海道に長く根を張りたいと自ら思い、当事務所のミッションを実現してくれること自体にもとても大きな意義があると思います。

藤井:大阪、名古屋、福岡は、開設から10年が経ちますが、その間の思いはやはり地方のクライアントをそばで支えたいというところです。これまで我々が十分に近くで対応できていなかったエリアに新たにサポート体制を築けるというのは、とても意味のあることだと感じます。

新家:観光・リゾート開発はもちろん、再生可能エネルギーをはじめとした新しい資源エネルギー、ITを中心とするスタートアップ企業の動き、アグリビジネスなど、新たなビジネスも注目される北海道ですが、坪野弁護士は北海道のどんなところにポテンシャルや応援したい思いを感じていますか?

坪野:そのような新しいビジネスの展開にはもちろん注目しています。そのほかにも人口減少・少子高齢化などの課題を踏まえた新しいビジネスモデルの構築など、国内の先進事例となり得るような取組みも増えてくると思います。こうした取組みを法務の観点からサポートしていきたいですし、本州や海外の企業と共同する場合には、道内企業と地域が成果をしっかり確保することも重要だと考えています。そういった点も含めて、道内企業の皆様に伴走しつつサポートしながら道内経済の発展に貢献していきたい思いがあります。

伊藤:私や臼杵弁護士が10年前に大阪・名古屋事務所開設のミッションを背負って大阪・名古屋に赴いたとき、私たちもまさに坪野弁護士と同年代だったと思い至ります。若い世代が事務所のミッションを考えて新たな開拓をしていくところも、当事務所のカルチャーのひとつですね。坪野弁護士が北海道の皆様との関係性を作って、事務所のサービスをクライアントに還元していく姿を、全力でサポートしていきたいです。

各事務所の展望、意気込み – さらなる10年に向けて

新家:札幌事務所の開設により、これまで以上に国内ネットワークもシームレスに繋がることができると考えています。今後の5年、10年に向けて、各事務所の意気込みや展望を教えていただけますか。まずは、伊藤弁護士、お願いします。

伊藤:国内拠点の展開を開始した当初考えていたミッションはこの10年の間にそれなりに達成できたと思っています。10年の区切りに新たに札幌事務所を開設し、これまで培ったノウハウを元に今後北海道の企業様へのリーガルサービスを充実させていきたいと思っています。
一方で、大阪・名古屋・福岡事務所においても、オンライン会議等の通信インフラ技術の進展や新型コロナウイルスの影響など環境の変化を肌で感じていて、それを踏まえた更なる発展や変化をしていかなければならないと考えておりますので、各拠点にいるメンバーを中心にそういった時代の流れを捕えながら、事務所として総合的にワンストップリーガルサービスを提供していきたいですね。

伊藤弁護士と藤井弁護士

臼杵:関西には全国展開している企業も多いので、まずは基本に立ち返り、そのニーズにしっかりと応えていきたいと思います。また、関西は、2025年の大阪万博の成功へ向けて日々盛り上がりを見せている状況でして、これを機に大きく飛躍する可能性を秘めております。大阪事務所としては、その流れに乗って関西企業の皆様を支えるとともに、大阪事務所が更に地域に根付くことにより、関西の皆様と一体となって堅実に成長できればと思っております。

藤井:今後も名古屋事務所に所属している弁護士・スタッフが、コミュニケーション・関わりを大切にしながら、東海地域のクライアントに寄り添うことを最優先に考え、結束して対応していきたいと考えています。名古屋事務所の所属人数は他拠点と比較するとまだまだ少ないので、人員補充等も見据えて、クライアントニーズに寄り添う、最適なチーム体制を築き、更なる発展をしていきたいと考えています。

尾崎:福岡事務所としては、この約10年の間に、西村あさひ法律事務所の存在が、九州・中国地方の企業の皆様にそれなりに浸透してきたという手応えを感じている一方で、まだ道半ばとも感じています。引き続き、日々のご相談に対し、丁寧かつ的確に対応していくなかでクライアントとの信頼関係を更に強固にするとともに、有益な知見・情報を時宜にかなったタイミングで積極的に対外発信していくことや、企業訪問などを通じて、これまで接点がなかった企業の皆様とも新たな関係を築いていきたいと考えています。札幌事務所に関しては、地理的には最も離れているものの、拠点を取り巻く地域経済や企業の環境としては共通する面もあると思いますので、これまで我々が福岡事務所で試行錯誤しつつ得た経験が役立つのではないかと考えており、全力でサポートしていきたいと思います。

坪野:札幌事務所を開設できとても嬉しく思います。札幌事務所では企業訪問や講演会を通じて「西村あさひ法律事務所」を知っていただく機会を増やし、身近に感じていただくことがまずは第一歩と思っています。当事務所の各拠点の多彩な弁護士、また道内事務所の先生方とも連携してベストな体制で道内企業の皆様をサポートし、重要な案件や難しい案件は、まず西村あさひ法律事務所に相談してみよう、という信頼を得ていきたいです。

新家:みなさん、ありがとうございます。当事務所は本日ご紹介した国内5拠点に加え、本年1月にはマレーシアにて戦略的業務提携を行うなど、日本国外にもアジアを中心に北米・欧州等14拠点を置き、国内外全19拠点、一部の提携事務所およびアライアンス事務所を含めると800名を超える弁護士・プロフェッショナルを有します。
その全弁護士が専門性を持ち寄りながら緊密に連携し、クライアントのビジネスへの深い理解に努めながら、ビジネスニーズ即した総合的・戦略的ソリューションを提供できるよう日々切磋琢磨しています。 今後とも、大規模チームで取り組む大型・複雑な案件や、国際的案件、複数の専門家が密に連携してチームを組んで対応する案件など、様々なニーズに即応し、いかなる局面でも「Leading You Forward」をお約束し、クライアントと社会の発展に貢献してまいる所存です。

本日はどうもありがとうございました。