ESGが企業運営に与える影響
はじめに
近時、ESGという言葉を耳にしない日はありません。環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つから構成され、その重要性は社会のあらゆる場面で繰り返し主張されています。
かつて、高度経済成長期の日本では環境への十分な配慮がなされていませんでした。結果として各地で環境汚染が進み、公害病が引き起こされたのは周知のとおりです。これに加え、昨今の日本では、社会とガバナンスの関係性がますます注目されています。
まず、コンプライアンス違反を原因とする倒産事件や紛争事件といえば、伝統的には不適切会計を原因とする、次の3つのケースが多かったといえます。第一の類型は、経営者が不適切会計に基づいて積極的に資金調達を行おうとするケースです。これとは逆に、第二の類型は金融機関からの貸渋り・回収を避けるために、やむなく不適切会計を行うケースです。第三の類型は、海外子会社での不適切会計を原因とするケースで、グローバル化の波に乗って海外に拡大したものの、海外子会社への管理が行き届かず海外子会社で問題が生じる場合が考えられます。これは近頃、増えてきていると言われます。
さらに最近では、こういった会計不正以外の新たなコンプラ違反が問題となるケースが増えてきています。これはコンプラ違反の概念が変化すると共に、コンプラ違反に対する社会的制裁が厳格になっていることが原因です。
人権尊重と日本社会
人権保障が重視される背景
外部から見たガバナンス