メインコンテンツに移動
  • Insights

役員報酬ガバナンス

役員報酬ガバナンス 役員報酬ガバナンス

2015年のコーポレートガバナンス・コード施行以降、役員報酬は企業の持続的成長を支える「健全なインセンティブ」として機能することが求められ、中長期業績との連動や、現金・自社株報酬のバランスの適正化が要請されるようになりました。以後10年以上にわたり、「役員報酬ガバナンス」の展開が進み、インセンティブ報酬の活用を後押しする法令改正やガイドライン・Q&Aの改訂が重ねられ、実務は複雑化しています。

譲渡制限付株式(Restricted Stock, RS)、事後交付型RS(Restricted Stock Unit, RSU)、事後交付型業績連動株式(Performance Share Unit, PSU)などの株式報酬については、経済産業省が2016年に『「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引-』を公表し、以後の改訂では従業員向け株式報酬に関する労務面の整理も加えられています。2017年公表(2022年改訂)の『コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)』では、経営戦略を踏まえた報酬体系の設計において、業績連動報酬や自社株報酬の導入検討が推奨されています。

法制面では、2021年施行の改正会社法により、役員報酬としての株式無償交付が可能となり、報酬決定手続や報酬情報開示も強化されました。税制面でも、2016年・2017年の税制改正によりRSやPSUの円滑な活用が促進され、その後もストック・オプションの適格要件の緩和などの改正が継続し、関連する法令解釈通達、Q&A、文書回答事例が随時公表されています。また、株式報酬に関連するインサイダー取引規制の適用除外の整備や、発行・継続開示の充実については、金商法関連法令及び各種ガイドライン・Q&Aが毎年のように改訂されており、有価証券上場規程における適時開示での取扱いも随時更新されています。

以上のような変化の激しい法務・労務・税務・証券規制・上場規程への統合的対応に加え、近時の「役員報酬ガバナンス」の実務は、ESG等の非財務指標の活用、RSと持株会の組合せ等による従業員向け制度の拡充、グループ会社への制度展開、制度のグローバル化、クローバック条項・マルス条項の導入など、さらに高度化・多様化しており、専門家の関与が不可欠となっています。加えて、M&Aに際して、導入済み報酬制度の事後処理について検討を要する場面も増加しています。

当事務所は、持株会(持株会RS・特別奨励金スキームを含む)、ストック・オプション、信託型株式報酬、RS、RSU、PSU、ファントム・ストック、SARsなどの多様な報酬制度の設計・運用に関し、買収局面やグローバル対応も含め豊富な助言実績を有しています。また、外国親会社株式を用いた報酬制度など、海外制度の日本への導入支援にも多数の経験があります。
 

N&Aニューズレター N&A Newsletters

セミナー Seminars

論文/書籍 Publications

弁護士等 People