株式会社東京機械製作所:敵対的市場買増しに対する有事導入型買収防衛策に基づく対抗措置の差止仮処分
西村あさひは、株式会社東京機械製作所(以下「東京機械製作所」)の取締役会が、同社の株式を市場内で大量に買い上がったアジア開発キャピタルらに対抗すべく導入した有事導入型買収防衛策に基づく対抗措置の発動として、差別的行使条件・差別的取得条項付新株予約権の無償割当ての実行を決議したことに対し、当該株主ら(債権者ら)が新株予約権無償割当差止仮処分を申し立てた(以下「本件仮処分申立て」)事件において、東京機械製作所を代理しました。本事件では、同社の臨時株主総会においてアジア開発キャピタルら及びその関係者と東京機械製作所の取締役及びその関係者を除く出席した一般株主の議決権の過半数(いわゆるMajority of Minority)の決議により、当該新株予約権の無償割当ての実行が承認されるものとされている点などが争点となりましたが、東京地方裁判所(東京地決令和3年10月29日金融・商事判例1641号30頁)、東京高等裁判所(東京高決令和3年11月9日金融・商事判例1641号10頁)は、いずれも本件仮処分申立てを斥け、東京機械製作所全面勝訴の決定を下しました。さらに、これに対しては、アジア開発キャピタルらが許可抗告の申立て及び特別抗告の提起を行いましたが、最高裁判所第三小法廷は、2021年11月18日付けで、許可抗告及び特別抗告をいずれも棄却する旨の裁判官全員一致の決定(最三小決令和3年11月18日金融・商事判例1641号48頁)を下しました。これにより東京機械製作所全面勝訴の決定は確定しています。
本件は、当事務所の太田洋弁護士、松原大祐弁護士、佐々木秀弁護士、石﨑泰哲弁護士、紺田哲司弁護士、園尾隆司弁護士、山﨑栄一郎弁護士、福留千紗弁護士、今野渉弁護士、玉虫香里弁護士、瀬川堅心弁護士および白澤秀己弁護士らが担当しました。
弁護士等 People
コーポレート/M&A分野のパートナーとして、国内外のM&A案件、株主総会対応、会社関係訴訟、コーポレートガバナンス、ジェネラルコーポレート等、企業法務全般を幅広く手がける。 豊富な知識と経験をもとに、大規模な案件や高度の専門性が求められるコーポレート/M&A案件に強みを有する。日本航空株式会社の会社更生申立案件、サントリーホールディングス株式会社によるBeam Inc.の買収案件、シャープ株式会社による鴻海精密工業股份有限公司に対する第三者割当増資等に関与。 また、近時は敵対的買収案件、アクティビスト対応案件も数多く手がける。東芝機械株式会社(現:芝浦機械株式会社)に対する株式会社オフィスサポートからの敵対的TOBへの対応案件(有事導入型買収防衛策の第1号案件)、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人に対するスターウッド・キャピタル・グループによる敵対的TOBへの対応案件、株式会社東京機械製作所に対するアジア開発キャピタル株式会社による敵対的な株式の市場買増しへの対応案件(最決令和3年11月18日資料版商事法務453号(2021)97頁)等に関与。
紺田 哲司 Tetsushi KONDA
- パートナー
- 東京
これまで数多くの事業再生案件に債務者、債権者及びスポンサーの立場から関与し、法的整理及び私的整理を問わず、豊富な経験を有する。また、中規模から大規模のM&Aや企業関係訴訟等(複雑な損害賠償請求、名誉毀損訴訟、株式の価格決定事件、倒産法上の否認請求など)にも多く関与しており、幅広い観点からのサポート・アドバイスを提供する。
また、国内案件のみならず、日系企業によるタイ投資(現地会社の買収など)およびタイビジネスに関する案件や国際倒産案件も手掛けており、クロスボーダー取引に関しても知見を有する。
裁判官として、高等裁判所及び地方裁判所を通じ、民事事件を主に担当し、東京地裁の破産再生部では複数の大型案件を扱い、同地裁の商事部では、会社訴訟、株価算定等の会社非訟、特別清算等の専門事件を担当した。これらの専門部在籍中は慶應義塾大学法科大学院で教員として民事実務基礎を担当した。 司法研修所では、専門訴訟をサポートする新設の第一部教官として、裁判官を対象に、コーポレート・ファイナンス、ストラクチャード・ファイナンス、デリバティブ、ソフトローとしての企業活動、企業価値算定、会計、統計処理等の金融・経済に関する多様な切り口から研修を企画した。 法務省には2度勤務し、1度目は、国の訴訟代理人として、専ら行政事件を担当し、原子力関係施設や国政選挙など政策の根幹に関わる重要案件を取り扱ったほか、国の立場で行政事件訴訟法の改正にも関与した。2度目は、行政庁を当事者とする紛争を未然に防止する予防司法支援制度の定着に務めた後、新設ポストである国際裁判支援対策室長として、国家間の国際裁判や投資仲裁を国内法曹としてサポートする体制作りに務めた。
福留 千紗 Chisa FUKUDOME
- アソシエイト
- 東京
今野 渉 Wataru KONNO
- アソシエイト
- 東京
玉虫 香里 Kaori TAMAMUSHI
- アソシエイト
- 東京
瀬川 堅心 Kenshin SEGAWA
- アソシエイト
- 東京
白澤 秀己 Hideki SHIRASAWA
- アソシエイト
- 東京
敵対的買収・アクティビスト対応、クロスボーダー案件を含むM&A取引、コーポレート・ガバナンスその他のコーポレート案件、国内・国際税務案件、個人情報・パーソナルデータ保護案件を中心に、企業法務全般を幅広く手がけており、日本経済新聞社による「企業が選ぶ2022年に活躍した弁護士ランキング」では、企業法務分野(1位)にランクインしており、同じく「企業が選ぶ2021年に活躍した弁護士ランキング」では、企業法務分野(2位)に、また「企業が選ぶ2020年に活躍した弁護士ランキング」では、M&A分野(1位)、企業法務分野(3位)にそれぞれランクインしている。 また、会社法、金融商品取引法、租税法、個人情報保護法等を巡る最先端の問題についてアカデミアと実務とを架橋する研究・執筆活動に力を入れており、『M&A・企業組織再編のスキームと税務〔第4版〕』、『M&A法大全〔全訂版〕(上)(下)』、『新株予約権ハンドブック〔第5版〕』、『個人情報保護法制大全』、『種類株式ハンドブック』、『令和元年会社法改正と実務対応』、『バーチャル株主総会の法的論点と実務』など、編著者として編集・執筆した書籍・論文は多数に上る。