株式会社ナガホリ:敵対的買収者による株主総会決議取消訴訟
西村あさひは、株式会社ナガホリ(以下「ナガホリ」)が、同社の株式を市場内で大量に買い上がった株主(原告)より、2023年6月29日に開催された第62期定時株主総会(以下「本総会」)に関して、本総会にてなされた、現役員の再任決議(以下「本決議」)の取消しを求めて提起された株主総会決議取消訴訟において、ナガホリを代理しました。
原告は、本総会に関し株主提案権を行使しており、本総会においては、株主提案に係る議案も上程されておりましたが、会社提案に係る議案はいずれも大多数の株主の賛成をもって可決された一方で、株主提案に係る議案は圧倒的多数の反対により否決されておりました。原告は、原告が行った本総会の基準日に係るナガホリの株主名簿(以下「本株主名簿」)の閲覧謄写請求に対してナガホリが本株主名簿の開示を遅延したと主張し、これが本総会における決議の方法が著しく不公正なときにあたるとし、また、ナガホリが本総会の招集通知に同封した補足説明資料の記載が、原告に関する不当な印象操作にあたると主張し、これが本総会の招集の手続又は決議の方法が著しく不公正なときにあたるとして、本決議の取消しを求めていたものです。
東京地方裁判所は、2024年3月27日付けで、ナガホリが本株主名簿の閲覧謄写請求を争ったことは正当な権利行使であり、また、補足説明資料の記載は社会通念上許容される相当な範囲を超えるものではないと判断して、原告の請求を棄却する全面勝訴の判決(東京地判令和6年3月27日金融・商事判例1700号32頁)を下しました。その後、原告が控訴することなく、控訴期間を徒過したため、ナガホリ全面勝訴の判決は確定しています。
本件は、当事務所の太田洋弁護士、佐々木秀弁護士、石﨑泰哲弁護士、松長一太弁護士、山本晃久弁護士、園尾隆司弁護士、今野渉弁護士、瀬川堅心弁護士および白幡翔弁護士らが担当しました。
弁護士等 People
国内外のM&A、JVを含む事業提携、事業承継、エクイティファイナンス、敵対的買収対応等を多数取り扱う。上場会社/非上場会社、企業の規模、産業分類、取引類型等を問わない豊富な実務経験と最先端の実務動向/法規制についての知見を有し、各案件の特性に応じて機動的・フレキシブルにハンズオンで対応できることが強み。
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今野 渉 Wataru KONNO
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瀬川 堅心 Kenshin SEGAWA
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白幡 翔 Sho SHIRAHATA
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敵対的買収・アクティビスト対応、クロスボーダー案件を含むM&A取引、コーポレート・ガバナンスその他のコーポレート案件、国内・国際税務案件、個人情報・パーソナルデータ保護案件を中心に、企業法務全般を幅広く手がけており、日本経済新聞社による「企業が選ぶ2022年に活躍した弁護士ランキング」では、企業法務分野(1位)にランクインしており、同じく「企業が選ぶ2021年に活躍した弁護士ランキング」では、企業法務分野(2位)に、また「企業が選ぶ2020年に活躍した弁護士ランキング」では、M&A分野(1位)、企業法務分野(3位)にそれぞれランクインしている。 また、会社法、金融商品取引法、租税法、個人情報保護法等を巡る最先端の問題についてアカデミアと実務とを架橋する研究・執筆活動に力を入れており、『M&A・企業組織再編のスキームと税務〔第4版〕』、『M&A法大全〔全訂版〕(上)(下)』、『新株予約権ハンドブック〔第5版〕』、『個人情報保護法制大全』、『種類株式ハンドブック』、『令和元年会社法改正と実務対応』、『バーチャル株主総会の法的論点と実務』など、編著者として編集・執筆した書籍・論文は多数に上る。