株式会社牧野フライス製作所:同意なきTOB提案に対する有事導入型の時間確保措置としての対応方針に基づく対抗措置の差止仮処分
西村あさひは、株式会社牧野フライス製作所(以下「牧野フライス」)の取締役会が、事前の打診や交渉が一切なく行われたニデック株式会社(以下「ニデック」)による同意無きTOB提案に対抗すべく導入した対応方針(以下「本件対応方針」)に基づく対抗措置の発動として、差別的行使条件・差別的取得条項付新株予約権の無償割当ての実行を決議したことに対し、ニデック(債権者)が新株予約権無償割当差止仮処分を申し立てた事件(以下「本件仮処分申立て」)において、牧野フライスを代理しました。本事件では、①取締役会限りで導入された本件対応方針により、ニデックが、上記TOB提案に係るTOB(以下「本件TOB」)のTOB期間を、株主意思確認総会における株主の判断が下されるまで延長することを事実上強いられることの適法性、②競合提案の確保等に必要な合理的時間を確保するためにTOB開始の延期を求める対応方針の適法性が争点となり、また、上記①②に関連して、③強圧性が払拭又は著しく軽減されたTOBへの対抗措置の適法性及び本件TOBの強圧性などが争点となりましたが、東京地方裁判所(東京地決令和7年5月7日資料版商事法務495号46頁)は、本件仮処分申立てを斥け、牧野フライス全面勝訴の決定を下しました。その後、ニデックは、上記決定に対して行った即時抗告を取り下げ、本件TOBを撤回しており、牧野フライス全面勝訴の決定は確定しています。
本件は、当事務所の太田洋弁護士、相澤哲弁護士、松原大祐弁護士、佐々木秀弁護士、松長一太弁護士、窪田三四郎弁護士、園俊次郎弁護士、今野渉弁護士、谷山風未花弁護士、小松詩織弁護士、石羽秀典弁護士及び安田里奈弁護士らが担当しました。
弁護士等 People
相澤 哲 Tetsu AIZAWA
- オブカウンセル
- 東京
1986年に判事補任官以来、さまざまな民事訴訟事件を担当。また、途中延べ15年にわたり法務省において商法その他の各種民事法の改正作業に携わり、2006年施行の会社法については同省民事局参事官及び大臣官房参事官としてその立案作業を主導。2021年から3年間は東京高等裁判所において民事部裁判長として事件を指揮。これらの経験を活かし、会社関係訴訟のほか、各種法人関係訴訟、一般民事訴訟等について、アドバイスを行う。
コーポレート/M&A分野のパートナーとして、国内外のM&A案件、株主総会対応、会社関係訴訟、コーポレートガバナンス、ジェネラルコーポレート等、企業法務全般を幅広く手がける。 豊富な知識と経験をもとに、大規模な案件や高度の専門性が求められるコーポレート/M&A案件に強みを有する。日本航空株式会社の会社更生申立案件、サントリーホールディングス株式会社によるBeam Inc.の買収案件、シャープ株式会社による鴻海精密工業股份有限公司に対する第三者割当増資等に関与。 また、近時は敵対的買収案件、アクティビスト対応案件も数多く手がける。東芝機械株式会社(現:芝浦機械株式会社)に対する株式会社オフィスサポートからの敵対的TOBへの対応案件(有事導入型買収防衛策の第1号案件)、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人に対するスターウッド・キャピタル・グループによる敵対的TOBへの対応案件、株式会社東京機械製作所に対するアジア開発キャピタル株式会社による敵対的な株式の市場買増しへの対応案件(最決令和3年11月18日資料版商事法務453号(2021)97頁)等に関与。
国内外のM&A・ジェネラルコーポレート・事業再生案件を中心に企業法務全般に従事。
一般的なM&A案件に加え、事業再生・事業承継を目的とするM&A案件(不採算事業の売却案件や事業撤退、スポンサー案件、後継者獲得等)について豊富な経験を有し、M&A後も、ジェネラルコーポレートから訴訟・国際仲裁、不祥事対応まで、事業運営で生じるあらゆる法務マターについて幅広くサポート。また、メーカー出向中に、多岐にわたる法務マターをクライアントサイドで経験したほか、2年間、欧州拠点に駐在し、EU・英国法に関する法務業務も経験。LL.M.でもGDPRやEU消費者法をはじめとするEU法を専攻し、国際的に活動する日本企業を多角的にサポートする。丁寧かつわかりやすいセミナーにも定評。
今野 渉 Wataru KONNO
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谷山 風未花 Fumika TANIYAMA
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小松 詩織 Shiori KOMATSU
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石羽 秀典 Hidenori ISHIBA
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安田 里奈 Rina YASUDA
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敵対的買収・アクティビスト対応、クロスボーダー案件を含むM&A取引、コーポレート・ガバナンスその他のコーポレート案件、国内・国際税務案件、個人情報・パーソナルデータ保護案件を中心に、企業法務全般を幅広く手がけており、日本経済新聞社による「企業が選ぶ2022年に活躍した弁護士ランキング」では、企業法務分野(1位)にランクインしており、同じく「企業が選ぶ2021年に活躍した弁護士ランキング」では、企業法務分野(2位)に、また「企業が選ぶ2020年に活躍した弁護士ランキング」では、M&A分野(1位)、企業法務分野(3位)にそれぞれランクインしている。 また、会社法、金融商品取引法、租税法、個人情報保護法等を巡る最先端の問題についてアカデミアと実務とを架橋する研究・執筆活動に力を入れており、『M&A・企業組織再編のスキームと税務〔第4版〕』、『M&A法大全〔全訂版〕(上)(下)』、『新株予約権ハンドブック〔第5版〕』、『個人情報保護法制大全』、『種類株式ハンドブック』、『令和元年会社法改正と実務対応』、『バーチャル株主総会の法的論点と実務』など、編著者として編集・執筆した書籍・論文は多数に上る。